新型コロナウイルスの影響で製造業購買担当者指数(PMI)が過去最低値を記録

(フィリピン)

マニラ発

2020年05月11日

IHSマークイットは5月4日、フィリピンの4月のIHSマークイット製造業購買担当者指数(PMI)(注)は31.6と過去最低値を記録したと発表した(添付資料参照)。39.7を記録した前月から8.1ポイント減少し、50.9を記録した前年同月から19.3ポイント減少した。

同社は大幅な減少理由について、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、製造業の生産が大幅に減少したことに加え、新規受注と輸出が過去最大のペースで減少したことを挙げた。雇用も悪化したが、悪化のペースは前月よりも減速したとした。

4月30日まで延長したルソン島全体を対象とした外出禁止令や公共交通機関停止を含む広域隔離措置(ECQ)について、フィリピン政府は対象地域をビサヤ地方やミンダナオ地方の一部にも拡大した上で5月15日まで延長している。国全体に何らかの移動制限が課され、国内の多くの製造業が操業の一時停止や在宅勤務、休業を強いられている状況だ。

ASEANのPMIは高い順から、ベトナム(32.7、前月比9.2ポイント減)、フィリピン(31.6、同8.1ポイント減)マレーシア(31.1、同17.3ポイント減)、ミャンマー(29.0、同16.3ポイント減)、インドネシア(27.5、同17.8ポイント減)と、いずれも大幅に減少し、ASEAN全体の製造業の業績見通しは先行きが心配される状況だ(5月6日時点でタイとシンガポールのPMIは未発表)。

(注)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫水準、雇用状況、価格などの指数に一定のウエイトを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」を意味して景気拡大を示し、50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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