新型コロナウイルスに対応し、新たな包括的経済救済計画を発表

(ミャンマー)

ヤンゴン発

2020年05月07日

ミャンマー計画・財務・工業省は4月27日、包括的な経済救済計画を発表した(COVID-19経済救済計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。アウン・サン・スー・チー国家最高顧問の発表によると、同計画は新型コロナウイルスによる経済への影響を緩和し、ミャンマーの早期経済回復を図る目的があり、必要資金は国家予算の組み替えなどで捻出する。同計画が社会や経済の自由を損なうことのないよう、社会福祉も維持し、労働者や投資に対する増税も行わないとした。

主な経済救済計画は以下のとおり。

  1. 中央銀行が政策金利を1.5ポイント引き下げ、5月1日から7.0%とする(通達8/2020)。これにより、貸出金利上限は担保ありが10.0%、担保なしが14.5%。また、預金金利下限は5.0%となった。
  2. 現在実施している縫製業、ホテル・観光業、中小企業を対象とした低利融資(貸出金利:年1%、融資期間:1年間)の融資総額を1,000億チャット(約76億円、1チャット=約0.076円)から2,000億~5,000億チャット程度に拡大する。
  3. 上記低利融資を受けていない年間売上高10億チャット以下の企業への銀行融資に対し50%を保証する。
  4. 前払い法人税および商業税の納付期限を2020年9月30日まで延長し、輸出時の前払い法人税2%に限っては2019年度(2019年10月~2020年9月)中の納税を免除する(既に実施されている税金対策)。これに加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防・治療に関わる医療用必需品の輸入時に賦課される関税・商業税と特別物品税を免除する。
  5. 国営工場を使用している企業に対し、工場リース料を3~6カ月免除する。
  6. 銀行が保有する不良債権を移管する資産管理会社を設立し、5~7年の間は同社が管理する。
  7. 国営工場を利用してCOVID-19関連医療用製品を製造するプロジェクトに対し、投資申請手続きを簡素化する。
  8. 新たに1,000億チャットの基金を設立し、商業銀行経由で貿易金融を提供する。
  9. eコマース、ソーシャルコマース(SNSを活用したeコマース)を活用し、小売業や関連ロジスティクス産業を振興する。
  10. 保健医療サービスシステムの強化を図る。

(草苅貴)

(ミャンマー)

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