過去最低水準の政策金利を更新

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年05月11日

ブラジル中央銀行の金融政策委員会(Copom)は5月6日、政策金利(Selic)を3.75%から0.75ポイント引き下げ、過去最低水準の3.00%とすることを決定した。その理由について、外的要因では、新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界経済が大幅に減速し、コモディティー価格や資産価値の脆弱(ぜいじゃく)性が増していること。主要経済国は追加の金融刺激策を打ち出しているにもかかわらず、新興国を取り巻く環境は厳しい状態が続いており、資金流出を懸念していることを挙げている。

内的要因では、前回のCopomを開催した3月中旬と比較して、国内経済悪化のシナリオが加速していることが挙げられる。2020年のインフレ率は2.0%と予測し、インフレ目標中央値4.0%(許容範囲は上下1.5ポイント)の範囲内にあることを挙げている。

産業界では、ブラジル工業連盟(CNI)が公式サイトで、新型コロナ感染拡大による景気後退と、これにより破産する企業が今後増加することを考慮すると、今回の決定は非常に歓迎すべき措置と評価している。4月30日付の中銀週次レポートフォーカスでは、2020年内にインフレ率を2.75%まで下げられると予測している。次回のCopomは6月16、17日に開かれる。

(古木勇生)

(ブラジル)

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