英国政府、移行期間終了後の新関税率を発表、EU関税率を大幅に簡素化

(英国、EU)

ロンドン発

2020年05月20日

国際通商省は5月19日、英国のEU離脱(ブレグジット)に続く移行期間終了後の2021年1月1日から採用する、英国独自の関税率を公表した。現在準拠している欧州関税法典(UCC)を英国独自の関税率に置き換えるために、EU対外共通関税率を流用した英国としての最恵国税率案を2018年7月にWTOに申請していたが、今回さらに新関税制度「UKグローバル・タリフ」に置き換え、関税分類品目(タリフライン)や関税率を大幅に簡素化する。

同省は、2月初旬に新関税制度の方針を発表(2020年2月7日記事参照)。意見公募を経て、今回の発表に至った。同方針に沿って細かな関税率の端数を切り下げて、シンプルにし、タリフライン6,000品目で合理化・簡素化する。輸入額ベースで60%相当の品目をゼロ関税とする一方、国内産業を保護するため、畜産品やセラミック製品などは関税を維持する。また、自動車も現行の10%を引き継ぐ。新たな関税率は、英国政府のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで検索できる。

英国政府は、EUと自由貿易協定(FTA)を締結している国や経済圏との間で、FTA継承に向けた個別協議も進めている。ただ、これまでにEUとのFTAの継承に署名できたのは20カ国・経済圏外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、2020年1月末のEU離脱後は増えていない。新たにFTA交渉を開始する日本(2020年5月14日記事参照)を含め、17カ国・経済圏とは、まだFTA継承が決まっておらず、協議がまとまらなければ、これらの相手国からの輸入にも新関税制度が適用されることになる。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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