2020年第1四半期のタイGDPはマイナス1.8%、6年ぶりのマイナス成長に

(タイ)

バンコク発

2020年05月20日

国家経済社会開発委員会(NESDC)は5月18日、2020年第1四半期の実質GDP成長率を公表した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国内外の景気悪化が主要因となり、前年同期比マイナス1.8%と前期の1.5%からマイナスに転じた。四半期のGDP成長率がマイナスに転じたのは2014年以来6年ぶりとなる。

需要項目別内訳をみると、外需は、物品・サービスの輸出が前年同期比6.7%減と、前期の3.4%減からマイナス幅が拡大。物品輸出は拡大(2.0%増)したものの、サービス輸出が大幅に落ち込んだ(29.8%減)。砂糖、コンピュータおよび部品、エアコン、電化製品などの輸出が増加した一方、ピックアップトラック、米、タピオカ製品、乗用車などが減少した。物品・サービスの輸入は同2.5%減と前期の7.9%減からマイナス幅が収縮した。

一方、内需は、個人消費支出は同3.0%増と前期の4.1%増に引き続き拡大するも、プラス幅は縮小した。これは、耐久財と半耐久財への支出は落ち込んだが、非耐久財とサービス支出は拡大したことが影響した。耐久財については、自動車販売の不振により減少(8.8%減)、非耐久財は食品や飲料の支出増により拡大(2.8%増)した。他方、総固定資本形成は、6.5%減と前期の0.8%増からマイナスに転じた。民間部門の投資支出は、5.5%減と前期の2.6%増から減速し、政府部門の投資も9.3%減と前期の5.1%減からさらに減速した。

NESDCのトサポン長官は18日の会見で、感染拡大抑制に向けたロックダウンにより、第2四半期が最も大きな打撃を受け、その後は緩やかな回復に向かうとの見通しを示した。(5月18付バンコクポスト)

2020年の実質GDP成長率の予測を大幅に下方修正

また、NESDCは2020年の実質GDP成長率をマイナス5.0~6.0%とし、2月時の予測(1.5~2.5%)から大幅に下方修正した。主な要因として、新型コロナウイルス感染拡大による世界経済の後退と世界貿易量の減少、外国人観光客数と観光収入の大幅な減少、国内での新型コロナウイルス感染拡大による経済の制約、干ばつによる被害などを要因として挙げている。

2020年の実質GDP成長率はNESDCの予測より低くなるとの見方もある。民間調査機関のCIMBリサーチは、政府による財政支出にもよるが、2020年通年のGDP成長率はマイナス6.4%またはそれより低くなると予測している。(5月18日付ネーションタイランド)

(岡本泰)

(タイ)

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