4月の米小売売上高は16.4%減、新型コロナ感染拡大の影響で前月に続き大幅減少

(米国)

ニューヨーク発

2020年05月21日

米国商務省の速報(5月15日付)によると、4月の小売売上高(季節調整値)は前月比16.4%減の4,039億ドルと、2カ月連続で、統計開始(1992年)以来最大となる減少幅を記録した(別添資料表参照)。なお、3月の売上高は8.7%減(速報値)から8.3%減に修正された(2020年4月20日記事参照)。

ING銀行のエコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は「小売売上高は過去2カ月の累計で23%程度減少しており、これだけで名目GDPの水準を6ポイント以上押し下げるのに十分」と指摘した。一方で、米国調査会社パンテオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト、イアン・シェパードソン氏は「とても悪い結果だったが、42州で経済再開あるいは段階的再開にまもなく向かうことから、(小売売上高は4月に)底を打っているかもしれない」と述べた。

フードサービス、総合小売り、ガソリンスタンドなどが押し下げ要因に

業種別にみると、フードサービスが前月比29.5%減の324億ドルと、全体を最も押し下げた。2005年3月(323億ドル)以来の低水準を記録した。次いで、総合小売りが20.8%減の508億ドル、ガソリンスタンドが28.8%減の246億ドルとなった。フードサービスに関しては、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて臨時休業した店舗が多かったことなどから、3月に300億ドル、4月に500億ドルの売り上げ損失につながっているとされる。

一方で、増加した業種は、無店舗小売りのみで、前月比8.4%増の784億ドルとなった。

民間調査会社コンファレンスボードが4月28日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした4月の消費者信頼感指数は、86.9と3月(118.8)より31.9ポイント減少し、2014年6月(86.4)以来約6年ぶりの低水準になった。また、内訳をみると、現況指数は76.4(3月:166.7)と90.3ポイント減少し、過去最大の減少幅となった。一方で、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は93.8(3月:86.8)と7.0ポイント上昇した。

コンファレンスボードの経済指標シニアディレクター、リン・フランコ氏は「現況指数が過去最大となる90ポイント減を記録したことは、新型コロナウイルス危機による経済活動の急激な縮小と失業保険申請件数の急増を反映している」と指摘した。また、期待指数が改善した点は、「経済の再開が進むにつれて、自宅待機令がもうすぐ緩和されるかもしれない」との期待を示したものだとした。一方で、「新型コロナウイルスが経済に与える影響は不確実で、今後数カ月の期待指数は変動する可能性がある」と指摘した。

(樫葉さくら)

(米国)

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