ベロウソフ第1副首相を首相代行に任命、首相の新型コロナウイルス感染受け

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年05月01日

プーチン大統領は4月30日、アンドレイ・ベロウソフ第1副首相を首相代行に任命する大統領令(2020年4月30日付第300号)に署名した。ミハイル・ミシュスチン首相が新型コロナウイルスに感染したことを受けたもの。

ミシュスチン首相は4月30日、プーチン大統領とのオンライン会合で自身が新型コロナウイルスに感染したことを明らかにし、当面の間隔離状態に置く必要があると説明。その上で、アンドレイ・ベロウソフ第1副首相を首相代行候補者に挙げ、プーチン大統領がこれを承認した。主要経済紙コメルサント(4月30日)によると、ミシュスチン首相は高熱状態にあり気分がすぐれないと話しているという。

アンドレイ・ベロウソフ氏は1959年生まれの61歳。ロシア科学アカデミー国民経済予測研究所上級研究員、マクロ経済分析短期予測センター所長、経済発展相、大統領補佐を歴任した、ロシアを代表する行政運営経験豊富なエコノミストの1人。経済学者のミハイル・デリャギン氏は今回の人事について、ベロウソフ氏が第1副首相であるため「特別なことではない」とし、「ベロウソフ氏は2006年以降14年間にわたり政府の高位ポストに就いているが、常に(上司に)忠実であった。現在もミシュスチン首相の政策の実現に注力しており首相就任への野心は持っていない」と評した(大衆紙「コムソモリスカヤプラウダ」5月1日)。

ロシアでは最近、連邦構成体の知事や幹部が新型コロナウイルスに感染する事態が相次いでいる。チェリャビンスク州知事(4月9日)、ニジェゴロド州副知事(19日)、レニングラード州知事(21日)の感染がそれぞれ確認された。

世界保健機関(WHO)によると、4月30日時点の新型コロナウイルスの感染者数は10万6,498人で、世界で8番目に感染者数が多い国となっている。直近1週間の感染者数は横ばいで推移しているが、死亡者数は増加傾向にあり1,073人に達している。この状況を受け、プーチン大統領は4月28日に5月6~8日を有休の非労働日(注)とする大統領令(2020年4月28日付第294号)に署名した。

(注)ロシアでは5月1日、4~5日、9日、11日が祝日のため、5月1~11日が連休となる。

(齋藤寛)

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