第1四半期のEC小売額で在宅関連商品が増加、政府幹部もライブ配信に登場

(中国)

大連発

2020年05月07日

商務部の4月23日の発表によると、2020年第1四半期の中国の電子商取引(EC)小売額は前年同期比0.8%減の2兆2,000億元(約33兆円、1元=約15円)となった。実物商品の小売額は5.9%増となっていることから、非実物商品(バーチャルグッズ、サービス類の商品)の小売額の減少が全体に影響を及ぼしている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、観光、外食、映画などのサービスの利用が制限され、航空券の購入などそれらサービスに関する取引が減少したことが主な要因とみられる。

地域別のEC小売額では、東北地域が8.7%増と最も高かった。次いで、東部地域が2.8%増、西部地域が4.8%減、中部地域が8.7%減と、湖北省が位置する中部地域の落ち込みが最も激しい。

実物商品の中では、外出規制を受け、自宅での生活を支える商品の伸び率が高かった。日用品、調理器具、フィットネス機器はいずれも40%増、農産品が31%増、医薬品、たばこ・酒類、食糧・油・食品が20%増となった。一方で、カー用品、家具、アパレル・靴・帽子の販売は振るわなかった。

ライブ配信に登場した政府幹部は100人超

実店舗での販売が落ち込む中、ECを活用した販促活動が活発になっている。商務部の発表によると、第1四半期にECプラットホームで開催されたライブ配信(生放送)の回数は400万回を超えている。

ライブ配信を行う主体としては、インフルエンサーや店舗の従業員が多いが、各地域の政府幹部の登場も話題を集めている。4~5級都市の市長や県長を中心とする政府幹部がライブ配信に登場し、当該地域の農産品や特産品を積極的にPRしている。商務部の発表では、第1四半期に100人を超える市長や県長がライブ配信を行った。

コメの産地として有名な黒龍江省五常市の楊健代理市長は4月18日、TikTokでのライブ配信を通して現地産のコメをPRした。約10万人が視聴し、1万9,000件(約130万元)の販売につながった。購入者からは「五常米はブランド化されており、偽物が多く出回っている。市長が推薦するものであれば安心して購入できる」という声が多く寄せられた。

中国インターネット情報センター(CNNIC)が4月28日に発表した「第45回中国インターネット発展状況統計報告」によると、中国のネットショッピング利用者は、2020年3月時点で7億1,000万人に達し、インターネット利用者の約8割がネットショッピングを利用している。

(呉冬梅、呉暁東)

(中国)

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