4月の月間インフレ率は1.5%と低水準、経済活動停止が原因

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年05月22日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は5月14日、4月の月間インフレ率〔消費者物価指数(CPI)上昇率〕は1.5%(年率45.6%)だったと発表した(添付資料図参照)。2017年11月以来の低水準となるが、これは新型コロナウイルス感染対策のための外出禁止措置により、国内の経済活動がほとんど行われていなかったため。5月8日にアルゼンチン中央銀行が発表した最新の経済見通しでは4月のインフレ率は2.3%と予測されていたが(2020年5月13日記事参照)、その予測を下回る結果となった。

4月の月間インフレ率を分野別にみると、食品・飲料(酒類を除く)分野の上昇率が最も高く3.2%となった。これはこの分野が、3月20日から続く外出禁止措置下でも一貫して活動が認められる数少ない部門だったことに起因する。食品の中では、特に果物や野菜、塊茎、豆類など、季節的影響を強く受ける品目で上昇幅が大きく、また肉や砂糖、デザート、菓子でも価格上昇がみられた。一方で、政府は約2,300品目の食品および衛生用品、清掃用品などの必需品に対して価格凍結措置を3月20日から継続して実施しており、食品・飲料(酒類を除く)分野での価格上昇に一定の歯止めがかかっている。政府はこの措置を6月30日まで延長することを決定した。

他方、通信分野はマイナス4.1%と下落した。4月に携帯電話および一般電話の契約プランの料金が下がったことが原因だ。また、住宅・光熱・その他燃料分野は、公共料金で実施されている価格凍結のために0%と変動がなかった(添付資料表参照)。

なおINDECは、4月のインフレ率の調査は、活動を停止している事業者が多く、また調査員が実地調査を行うことが困難なために、国際的に推奨される代替的な調査方法を採用し、主に電話、メール、ウェブサイトでの価格調査を行ったと発表した。そのような調査方法を通じた今回の結果には問題点もある、との指摘も出ている(「インフォバエ」紙5月14日)。例えば前出の価格凍結措置は、表面上は順守されているものの実際はローカルスーパーマーケットなどで違反が多数報告されたが、本調査方法では実情が反映されないこと、営業を停止している事業者が多く有効なサンプル数が限られること、さらにオンラインでの販売活動再開が4月18日から認められたために、再開直後の4月下旬は販売促進のために大幅な値引きを一時的に実施した事業者が多かったこと、などが挙げられている。

(津下みなみ)

(アルゼンチン)

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