豪政府、大手IT企業に対してニュースコンテンツからの収益共有を義務化

(オーストラリア)

シドニー発

2020年04月22日

オーストラリア連邦政府は4月20日、インターネット検索エンジンなどのデジタルプラットフォームとメディア間の市場支配力の不均衡を正すため、ニュースコンテンツから得た収益の共有などを課す義務的行動規範を策定するよう、オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)へ指示した、と発表した。

ACCCは2019年7月、デジタルプラットフォームの市場支配に関する23の要望をまとめた報告書を提出しており、連邦政府は2019年12月、報告書への回答とともに、IT企業への規制強化に向けたロードマップを公表していた(2019年12月18日記事参照)。

ACCCは報告書の中で、ニュースコンテンツの配信などにおいて、オンラインではフェイスブックやグーグルが圧倒的な支配力を有しており、既存メディアとの間で不均衡が生じていることを指摘していた。これを受け、連邦政府が示したロードマップでは、ACCCが関係機関とともに、2020年11月までに自主規則を策定することとしており、合意に至らない場合は、連邦政府が代替案を策定する、としていた。

連邦政府は、関係機関による自主規則の策定が期限内に合意に達する可能性は低いとするACCCの助言に基づき、義務的行動規範の策定指示に至った、としている。また、広告収入の激減など、国内のメディア産業が新型コロナウイルスによって大きな影響を受けていることからも、迅速な対応が必要だと判断した、と説明している。

義務的行動規範で規定される内容の中には、データの共有、ランキングやニュースコンテンツの表示に関する問題、ニュースコンテンツから得た収益の共有方法などが含まれるほか、執行方法や罰則が規定され、拘束力のある紛争解決制度が設けられる。ACCCは、2020年7月末までに原案を作成することとなっている。

(住裕美)

(オーストラリア)

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