オーストラリア政府、IT企業規制強化に向けたロードマップを公表

(オーストラリア)

シドニー発

2019年12月18日

オーストラリア連邦政府は12月12日、オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)がとりまとめたデジタルプラットフォームに関する調査報告書への回答と、それに対応するロードマップを公表した。今後、IT企業に対する規制が強化されることになる。

ACCCは2019年7月末、インターネット検索エンジンやソーシャルメディアなどのデジタルプラットフォームの市場支配に関する23の要望をまとめた報告書を財務相へ提出しており、連邦政府は12週間の意見聴取を実施した上で、2019年末までに報告書に対する回答を示す、としていた(2019年8月2日記事参照)。

連邦政府は、提出された100以上の意見書と、多くの利害関係者との協議を通じて、消費者保護と競争環境の確保のため、改革の必要性を強く認識したとして、既存市場と同様の機能とルールがデジタル市場でも適用されるよう、適切な規制を導入していく考えを示した。

公表されたロードマップでは、ACCCの報告書で示された要望に沿って、既に着手している政策、すぐに取り組む政策などが大まかなスケジュールとともに示された。ただし、要望の中には、問題の複雑さと経済全体に与える影響を考慮して、さらなる検討が必要なものもある、とした。

すぐに取り組む政策として、デジタル市場監視のための専門部署をACCC内に設置することが示された。2,690万オーストラリア・ドル(約20億1,750万円、豪ドル、1豪ドル=約75円)の予算措置を行い、まずはオンライン広告やアドテク(広告配信システム)サービスの分野から不正監視を開始し、必要に応じて法執行を行う、とした。

また、オンライン・オフライン双方に中立的な規制枠組み策定のため、2020年からメディア規制改革へ段階的に取り組むことが示された。第1段階として、全てのメディアプラットフォームに関わる統一分類の枠組みを策定することや、テレビ番組におけるコンテンツ規制および動画配信サービスへのコンテンツ規制適用の検討などに焦点を当てる。

さらに、ニュースコンテンツの配信などにおける、既存メディアとデジタルプラットフォーマー間の市場支配力の不均衡を正すため、ACCCが関係機関とともに、2020年11月までに自主規則を策定することとなった。合意に至らない場合は、連邦政府が義務的ルールの策定などの代替案を策定する、としている。

そのほか、プライバシーに関する消費者の権利強化とデータ保護のため、ソーシャルメディアやオンラインプラットフォームに対して、罰則を強化し、拘束力のあるプライバシー規定を導入するなど、プライバシー法の見直しを進めることが示された。

(住裕美)

(オーストラリア)

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