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EUとのFTA現代化交渉で最終合意、自動車産業の原産地規則が緩和

(メキシコ、EU)

メキシコ発

2020年04月30日

メキシコ経済省は4月28日、2016年6月から開始され、2018年4月に実質合意に達していたEUとの自由貿易協定(FTA)の現代化交渉が最終合意に達したと発表した。最後まで交渉していたのは、州レベルの政府調達の開放についてであり、メキシコの同提案をEU側が承認することによって最終合意に達した。EUメキシコFTAは2000年7月に発効済みだが、同協定の内容を最新世代の協定にアップデートするとともに、従来は関税削減の例外品目とされていた食肉や酪農品などの関税を相互に撤廃する。協定には新たに「エネルギー・鉱物資源」、「持続的開発」、「デジタル貿易」、「良い規制慣行」、「腐敗防止」などの章が盛り込まれている。

メキシコの2019年の対EU輸出は242億4,200万ドルで輸出総額の5.3%を占め、ブロックとしてみれば米国に次ぐ輸出先だが、協定現代化でメキシコの対EU輸出増に寄与すると考えられるのは、自動車分野の原産地規則の緩和だ。現協定の完成車の品目別原産地規則(PSR)は、工場渡し価格ベース控除方式の域内原産割合(RVC)が60%以上(注1)であるが、新協定ではRVCの閾値が55%に下がる(注2)。HS87.08項に分類される自動車部品のPSRは、現協定では4桁レベルの関税分類変更(注3)、あるいはRVCが60%以上だが、新協定では後者の閾値が50%に引き下げられる。2019年にメキシコからEUへはVWが12万8,596台(系列のアウディー含む)、マツダが2万5,159台、フィアットクライスラー(FCA)が4万7,911台、BMWが130台、日産が4台、合計で20万1,800台の自動車が輸出されている。

日本との間で多国間累積の可能性も

自動車産業に関連して対EU協定の現代化で注目されるのは、協定別添II-Aの第IIIに盛り込まれた多国間累積の条項だ。多国間累積とは、加盟国・地域が共通にFTAを締結する第3国の原材料を加盟国・地域の原産材料とみなすことができる規定である。新協定ではHS87.03項の乗用車に用いられるいくつかの材料に関し、EUあるいはメキシコの双方がGATT24条に準拠したFTAを締結している第3ヵ国の材料を原産材料とみなすことができるとしており、その条件として、協定の一加盟国・地域が第3国との間で材料の原産性を確認するための税関協力に関する調整がなされ、他の加盟国・地域に通知することとしている。EUとメキシコは双方とも日本との間でGATT24条に準拠した経済連携協定(EPA)を締結しているため、メキシコと日本で多国間累積に関する調整がなされれば、メキシコからEUに輸出される乗用車の生産に、日本の自動車部品が原産材料として活用できる可能性がある。

(注1)工場渡し製品価額に占める非原産材料価額(NOM)の比率が40%以下、つまり製品価額からNOMを控除した価額が製品価額の60%以上あれば良い。

(注2)経過措置として協定発効3年目までは45%、4~6年目は50%、7年目以降55%となる。

(注3)製品のHSコードと製品製造のために用いる非原産材料のHSコードが上4桁で異なっていれば原産品とみなす基準。

(中畑貴雄)

(メキシコ、EU)

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