民政部、養老機構管理弁法の修正草案に対するパブリックコメント募集

(中国)

北京発

2020年04月17日

民政部は4月14日、「養老機構管理弁法(修正草案意見募集稿)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。現行の弁法は2013年に制定されており、今回が初めの修正草案となる。2018年12月に「老年人権益保障法(高齢者権益保障法)」が改正され、介護施設設立の許可制度を取り消して登録制度としたことや、2019年4月に発表された「養老サービス発展のための意見」などで介護サービスの品質向上を推し進めるとしたことに伴い、本弁法の修正草案が起案された。

修正草案は7章50条からなり、現行の「弁法」のうち計30条が修正され、新たに計17条が追加された。主に下記5点について修正がなされた。

(1)登録管理

介護施設設立時に登録すべき内容の詳細を示した(第9条)ほか、登録期限を定め、高齢者が入居したあと10営業日以内に登録が必要とした。また登録申請先機関を明確にした(第10条)。さらに、登録に必要な資料と手続きの流れを規定した(第11、12、13条)。

(2)サービスの規範化

介護施設は高齢者の入居に際してアセスメント制度を設け、身体状況のアセスメントを実施し、介護等級を定めるよう求めている(第15条)。また、介護施設に対して、社区介護サービス施設の運営や訪問介護サービスの提供など、サービス内容の多様化を奨励するとしている(第24条)。

(3)運営管理

修正草案では介護施設に対して安全性確保の強化を求めており、介護施設の共用スペースには監視カメラを設置し、録画内容を保存することを求めている(第28条)。また、入居者の個人情報は少なくとも退去後5年間は保存しなければならないとした(第32条)。

(4)監督検査

許可制を登録制に変更したことに伴い、変更事項が比較的多くなっており、民政部門による監督検査の実施内容を定めた(第37条)。また、ランダムに検査対象施設を選定し、検査を実施するとした(第38条)。これとは別に、各介護施設に対して民政部門による現場検査を少なくとも1年に1回実施すると定めた(第40条)。

(5)法律責任

強制的国家標準に適したサービス提供が行われていない、アセスメント制度を設けていないなどの状況がみられた場合、警告を行い、場合によっては3万元以下の罰金に処するとしている(第47条)。

パブリックコメントは、2020年5月13日まで、民政部または中国政府法制信息網のウェブサイトで受け付けている(Eメールまたは郵送での提出も可能)。

民政部は、2018年末時点で全国の介護施設総数は2万8,671施設、ベッド数合計は379万3,724床あるとしている。

(唐澤和之)

(中国)

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