移住庁が外国人の一時居住者カード(TRT)の更新業務を停止

(メキシコ)

メキシコ発

2020年04月13日

新型コロナウイルス感染拡大防止を目的とした3月30日の「衛生上の非常事態宣言」(2020年3月31日記事参照)を受け、メキシコ内務省は4月1日付官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、国家移住庁(INM)の業務の一部を4月1~30日の間停止すると発表した。これにより実際に影響を受けるのは、メキシコにおける外国人の在留許可証である一時居住者カード(TRT:Tarjeta de Residente Temporal)の更新手続きだ。TRTは有効期限日の30日前から更新申請が可能だが、4月中に有効期限が過ぎてしまう場合、5月の最初の平日である4日にINMに出頭し更新手続きの申請をしなければならない。なお、衛生上の非常事態宣言の期間が延長された場合、INMも同期間中はTRTの更新を引き続き行わない可能性がある。

TRT更新業務のみが停止対象

ジェトロがメキシコ市のINMに確認を取ったところ、今回の措置はTRTを用いてメキシコに一時的に居住している外国人の更新手続きのみが停止対象で、雇用主登録・同更新、就労許可取得などの業務は通常どおり行われる。TRTの更新のために毎日、早朝から多数の外国人がINM庁舎を訪れているため、感染拡大防止のため来庁人数を物理的に減らす必要があるとのことだ。

また、TRTの更新のためにはINMにカードを提出する必要がある。原則として預けている期間、カード保有者がメキシコから出国するためには、航空券のEチケットなどをINMに提出して、60日間有効の「出入国許可証(Permiso de salida y regreso)」を有料で発給してもらう必要がある。この出入国許可証の発給業務は停止されていないとのことだ。しかし、感染拡大などの理由から60日以内にメキシコに戻ることができなかった場合の罰則の有無については不明だ。

査証からTRTへの切り替え手続きは通常どおり

メキシコで181日以上滞在する場合、TRTの交付を受ける必要がある。滞在予定者は、在外メキシコ公館において有効期間180日の査証をパスポートに貼付してもらい、有効期間中にメキシコに入国し、入国日から30日以内にINMにてTRTへ切り替える申請(Canje)をする必要がある。今回のINMの停止業務の中に、同切り替え手続き業務は含まれていない。

(志賀大祐)

(メキシコ)

ビジネス短信 ea7b1fca8f7f96cc