月給4,000リンギ以下の従業員を対象とした賃金補助制度が拡充

(マレーシア)

クアラルンプール発

2020年04月08日

マレーシア政府が3月27日発表した景気刺激策のうち、賃金補助制度について申請受付が開始された(2020年3月31日記事参照)。申請先は、社会保険機構(SOCSO)となる。SOCSOに確認したところによると、条件を満たせば、業種に限らず外資系企業でも補助を受けられるとのことだ。ムヒディン・ヤシン首相は4月6日に賃金補助制度の拡充を発表し、補助総額は138億リンギ(約3,450億円、1リンギ=約25円)になり、480万人の従業員に利益があるとした。

1社当たり最大200人の賃金を補助

賃金補助を受けるための主な条件は、(1)雇用保険(EIS)に拠出を行っている企業で、(2)2020年1月からの売り上げがそれ以前より50%以上減少しており、(3)本制度への申請が受理されてから3カ月以内に従業員を解雇したり、無給休暇を取得させないこと、となっている。EISは1人以上の従業員を雇用する民間の雇用者全てが対象となっている。

これら条件を満たした場合、月給4,000リンギ以下のマレーシア人従業員最大200人に対し、3カ月分の賃金の一部が補助される。4月6日のムヒディン首相発表によると、従業員数に応じて1人当たりの補助額が変わり、75人以下の場合は月1,200リンギ、76~200人の場合は月800リンギ、200人以上の場合は月600リンギが補助される。また、75人以下の企業に関しては、前述の条件である売り上げ減少は適用されず、減少率にかかわらず受給できる。

従業員の給与額を引き下げることは認められない。申請者は雇用者で、補助金は申請が受理されてから7~14日以内に雇用者の銀行口座に振り込まれる。なお、申請開始は4月9日からで、締め切りは9月15日までとなっている。

売り上げ減少を証明する書類などを提出

提出書類は、(1)賃金補助を求める従業員の氏名や個人登録番号などのリスト、(2)雇用者の銀行口座情報、(3)銀行口座開設の際に付与されるビジネス登録番号(Business Registration Number:BRN)の情報、(4)会社登記書などの登記証明のコピー、(5)売り上げの減少や従業員の解雇や給与カットを行わないことなどの宣誓書、(6)売り上げの減少を証明できる補足資料となっている。最後の補足資料については、従業員75人以下の企業は提出不要だ。

なお、従業員リストと宣誓書については、SOCSOのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにある所定フォームを使用する(ただし、4月9日より、賃金補助制度の専用ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが立ち上がる予定)。申請に当たっては、SOCSOが発行する「よくある質問(FAQ)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」も参照されたい。

(注)4月6日時点で、各種書類、FAQはマレー語のみ。4月7日時点で、首相が発表した拡充措置に関する内容はウェブサイトに掲載されていない。

(田中麻理)

(マレーシア)

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