景気刺激策第2弾を発表、2,500億リンギの大型支援策

(マレーシア)

クアラルンプール発

2020年03月31日

ムヒディン・ヤシン首相は3月27日、新型コロナウイルスの感染拡大によるマレーシア経済への影響に対する軽減措置として、景気刺激策パッケージの第2弾外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。2月27日に発表された第1弾の200億リンギを含めて、2,500億リンギ(約6兆2,500億円、1リンギ=約25円)に上る(2020年3月3日記事参照)。今回追加された2,300億リンギの内訳は、国民の福祉および生活保障に1,280億リンギ、中小企業を含めた企業支援に1,000億リンギ、経済成長強化策に20億リンギとなっている。

企業支援に1,000億リンギ

企業支援の主なものとして、給与補助、従業員積立基金(EPF)の繰延や再編、人的資源開発基金(HRDF)への拠出の6カ月間免除、中小企業の法人税分割納付の3カ月間延期などがある。給与補助については、2020年1月1日から売り上げが50%以上減少した企業に対し、従業員に無給休暇の取得や給与削減を行わないことを条件に、月給4,000リンギ未満の従業員について月額600リンギを3カ月間支給する制度となっている。対象企業や申請方法などの詳細は、今後発表されると見込まれる。

経済成長の強化策として国内投資に注力するとし、道路や公共施設などの修繕などのプロジェクトを促進するほか、東海岸鉄道(ECRL)、大量輸送システム(MRT)2号線、国家ファイバー化およびコネクティビティ計画などを推進する。

移動制限令終了後の対策に懸念の声

景気刺激策の内容については、企業支援のほか、医療従事者、警察官などへの支援に加え、中間層~低所得層への一時金支給、ローン返済期限の延長、公営住宅の賃料免除などの家計所得支援策が多く、あらゆるコミュニティーのニーズに沿った包括的な施策だと評価する声が多い。しかし、他方で、移動制限令の終了後に起こり得る経営不安などへの対策が不十分とする指摘や、各種税金の税率引き下げを提案する専門家もいる(「マレーメール」紙3月28日)。

3,000社以上の企業が加盟するマレーシア製造者連盟(FMM)は、政府が発表した景気刺激策に対し、産業界が受ける影響に鑑みて、給与補助に充てる予算の増額や給与額による制限の撤廃などの条件拡大のほか、2020年の法人税率を10%へ引き下げるなど、さらなる追加措置を要求している。

感染者数は拡大傾向

ムヒディン首相は、景気刺激策の発表の結びとして、各省庁に対して2020年予算の見直しを命じ、今後中期的な対策を講じる用意があるとも述べた。

マレーシア国内での感染者数は依然として連日100~200人規模で増加している。3月29日時点の感染者数は2,470人、死亡者数は34人、回復した患者数は388人となった。

(田中麻理)

(マレーシア)

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