トランプ米大統領、原油価格安定に向けてエネルギー業界経営者と会談

(米国)

ヒューストン発

2020年04月08日

米国のトランプ大統領は4月3日、原油価格安定化に向けて、エネルギー業界の経営者らとホワイトハウスで会談した(出席者については添付資料参照)。大統領はこれに先立つ4月2日、自身のツイッターで、世界の原油の日産量約1億バレル(2019年)の10%に相当する日産量1,000万バレルの減産にサウジアラビアとロシアが合意する可能性に言及しており、会談のあった4月3日の原油価格(WTI先物)は、4月1日の終値1バレル当たり20.31ドルから、28.34ドルまで約40%急上昇した。

会談においてトランプ大統領は、新型コロナウイルスは1918年のスペイン風邪以来の猛威を振るう伝染病であることを強調し、このような時期にロシアのプーチン大統領およびサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン王子が何か良からぬことを起こそうとしているのではないかと考えており、トランプ大統領自身は1,000%石油ガス業界の皆と共にあると述べた。

その上で、3月27日に大統領が署名した新型コロナウイルス対応の2兆2,000億ドルの救済パッケージ(2020年3月30日記事参照)には、2020年の損失分を前年の納税額から差し引く規定があることを紹介した。また、エネルギー省が戦略備蓄として試みた米国産原油7,700万バレル購入という対策は、民主党の反対により原油購入予算が盛り込まれず実施に至らなかったと説明した。

会談において、日産量1,000万バレルの減産合意について大統領は直接言及しなかったが、ダン・サリバン上院議員(アラスカ州選出)およびケビン・クレイマー上院議員(ノースダコタ州選出)が、サウジアラビアに対する米国の安全保障上の協力の見直しを示唆する発言を行った。また、報道各社は、大統領は減産合意が形成されない場合に、米国が輸入する外国産原油への関税を引き上げることを示唆したと報じており、3月に増産方針を打ち出し原油価格下落をもたらしたサウジアラビアへの警告とも捉えることができる。

OPEC、および非OPECメンバー国のうち主要産油国で構成するOPECプラスの緊急会合は本来4月6日に開催する方向で調整されていたが、開催に向けた調整が遅れ、現在のところ4月9日に開催される可能性が濃厚とされている。この会合で減産調整合意できるかどうかが、今後の原油価格を大きく左右する。

(中川直人)

(米国)

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