新型コロナ対策として、民間セクターの資金で政府のイニシアチブを支援

(ナイジェリア)

ラゴス発

2020年04月20日

ナイジェリアは、ロックダウンの期間を延長するなど新型コロナ対策を進めているが、経済への打撃はより深刻になっている。ナイジェリア中央銀行(CBN)は経済対策として3月26日、コングロマリットのダンゴテや商業銀行アクセスバンクなど大手企業とともに「COVID-19ナイジェリア民間部門連合」を結成すると発表した。公的医療機関や政府のイニシアチブをサポートすることが目的だ。運営委員会議長はCOVID-19連邦政府委員会の議長を兼任するボス・ムスタファ連邦秘書官が務める。委員は中銀総裁、ダンゴテ会長のほか、銀行、商社の会長らから構成され、各委員は最低10億ナイラを拠出する。CBNによると、新型コロナ感染拡大に対応するための機器、材料、インフラの調達に必要な資金は1,200億ナイラ(約336億円、1ナイラ=約0.28円)を超えるとの試算だ。

外貨準備高は約10カ月前の2019年6月11日時点では451億7,000万ドルだったが、それ以降一貫して減少を続け、4月9日時点で344億ドルと、2017年12月以来の低水準に落ち込んだ。通貨ナイラの公定為替レートは、ナイジェリア中央銀行(CBN)が2016年9月以降、1ドル=306~307ナイラに保ってきたが、3月23日、突如361ナイラに切り下げた。市中為替レート(Bureau De Change, BDCレート)は3月10日時点では1ドル=360ナイラだったが、4月13日時点で380ナイラまで下落している。

外貨準備高の減少により、CBNは国内への外貨供給を制限しているとみられ、輸入業者は銀行窓口で輸入代金決済のための外貨建てL/C(信用状)が開設できなくなっている。ジェトロがラゴスの複数の銀行に取材したところ、「現在発行されているL/Cはロックダウン前に申請されたものに限られており、ロックダウンとなっている地域ではL/C新規開設の申請を受け付けていない」「CBNは全国から申請されたL/Cのうち10~20%のみしか承認していない」という声が聞かれた。輸入品不足と為替レート下落により、今後インフレが予想される。

(西澤成世)

(ナイジェリア)

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