保健省が感染フェーズ3を宣言、省令で州政府に対する対策導入を指示

(メキシコ)

メキシコ発

2020年04月22日

メキシコ保健省は4月21日、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領の早朝記者会見において、メキシコにおける新型コロナウイルスの感染状況がフェーズ3に達したと発表した。フェーズ3とは、感染件数の増加が国内の至る所で加速し、入院患者数も増加して医療インフラに対して大きな負荷がかかる段階を指す。また、同日夕刻に保健省令を官報公示し、既に4月16日に発表されていた操業継続が「不可欠な活動」以外の操業停止期間について、地域に応じて5月17日または5月30日まで延長する措置(2020年4月17日記事参照)を正式に導入した。

4月21日付保健省令第1条は、「不可欠な活動」以外の操業停止期限を4月30日から5月30日に延長するが、第2条で新型コロナの感染事例がない、あるいは発生事例が僅かな市町村については5月18日から操業を再開できるとし、保健省が当該地方自治体を判断するための基準を定めるとした。さらに、感染が拡大している市町村と感染が少ない市町村の間の人の移動の抑制についても、同省が指針を定めるとした。その上で、5月18日から操業開始が認められる市町村においても、60歳以上の高齢者など新型コロナに脆弱な人々を就労させてはいけないことが定められている。

また、第3条では、保健省が感染症監視システムの必要な調整を行い、重症患者の特別な監視に加え、入院や特殊治療サービスの需要の把握を行えるように備えることを定めている。これには、医療崩壊に至る前に需要に応じて必要なインフラを整備する目的がある。

州政府の義務を規定

保健省例の第5条は、国内の32州(メキシコ市を含む)の政府の義務として、以下を定めている。

  1. 重度呼吸機能障害患者への対応や関連医療インフラの使用・空き状況などに関する毎日の連邦保健省に対する報告を遅延なく行う
  2. 連邦保健省の指針や新型コロナウイルスの感染状況に応じた適切な予防・管理措置の導入
  3. 感染の水準が異なる市町村間における人の移動を抑制するための効果的なメカニズムの構築と実行(連邦行政機関も協力)
  4. 上記対策の適切かつ適時の実施の保証と連邦保健省への定時報告

また、第5条では、州内の病院施設の転換(重度呼吸機能障害の治療に対応するためのインフラの整備)や拡張に向けた計画の導入と監視を行い、州民の健康を確保するための適切で適時な対応を行うのは、州政府保健当局であることが定められている。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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