農業分野以外における短期就労ビザの延長を停止

(エストニア)

ワルシャワ発

2020年04月24日

新型コロナウイルス感染拡大の影響によりエストニアでも失業者が増加する中、外国人労働者への短期就労ビザの発給などを定めている外国人法の一部が改正され、4月20日から施行された。本改正により、エストニアでの居住権がなく、短期就労ビザを保持して滞在している非EU市民は、就労ビザの期限が切れた場合、直ちにエストニアから出国しなければならなくなる。ただし、エストニアで農業分野に従事している非EU市民は、7月31日までは引き続き就労の延長が可能である。上記改正は新型コロナウイルスの影響による国内の失業対策として施行された。しかし、農業分野では外国人労働者への依存度が高く、都市部で失業した人々を直ぐに雇用する事が難しいため、農業分野に特別措置が設けられた。

現在、非常事態宣言により出国が困難な状況のため、出国を求められる外国人はエストニアでの滞在が一時的に許可されているが、今後、非常事態宣言が解除された場合、10日以内に出国しなければならない。

新型コロナ終息後には、日本の若者にはワーホリビザという新たな扉も

上述のとおり外国人法は厳格化されているが、日本人に関するビザについて、エストニア議会は昨年10月、日本政府とのワーキング・ホリデー協定の承認に関する法律を批准した。これにより、3月11日よりワーキング・ホリデー制度が導入されている。同制度の対象は両国の18歳から30歳までの国民で、日本からエストニアへ渡航する場合、有効な査証を所持していれば警察と国境警備隊への事前就労登録無しで就労する権利が与えられ、最大1年間エストニアに滞在できる。

エストニアではスタートアップ企業を中心に多くの外国人が活躍しており、非EU市民も多い。スタートアップ・エストニアによると、スタートアップ企業で勤務する従業員のうち、全体の16%が非EU市民となっている。特にITエンジニアなどは人材が不足しており、非EU市民がその不足を補っている。

エストニアでは、3月17日以降、長期滞在ビザの申請受け付けを停止しているものの、再開後には、日本の若者にもエストニアの活発的なスタートアップ環境を体験する機会が開かれることになる。

(吉戸翼)

(エストニア)

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