新型コロナウィルスの影響を受け、電子システム会議の条件を緩和

(タイ)

バンコク発

2020年04月22日

タイ政府は4月19日、「電子システムによる会議開催にかかる勅令」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを官報に掲示し、テレビ会議などの電子システムを利用した会議の開催基準について公表した。本勅令により、海外からの会議参加が認められるようになるなど、大きく条件が緩和された。

これまで、2014年6月27日に国家平和秩序評議会(NCPO)が公表した「電子システムによる会議にかかる通達No.74/2014年」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)にもとづき、テレビ会議形式で取締役会や株主総会を開催する際、「参加者の3分の1以上は同一会場にいる必要があり、かつ海外からの会議参加は認めない」旨が規定されており、日系企業から、「タイ国外在住の取締役がタイに渡航できず、定時総会が開催できない」などの声が寄せられていた。ジェトロも関係機関と連携し、タイ政府に条件の緩和を要望していたことから、今回の新たな勅令は、こうした産業界の声に対応したものと思われる。なお、今回の新たな勅令により、同通達は廃止された。

新勅令の要点は以下のとおり。

○法的効力:電子システム会議の結果は、通常の対面会議と同等の法的効力を持つ。

○対象:法律で開催を義務付けられ、かつ電子システムによる開催が可能な会議(注)。参加者が同一の場所にいる必要はなく、電子システムを通じ議論や意見交換が可能

○招待状・資料の送付:電子システム会議の招待状や会議資料は、Eメールで送付可能。ただし、主催者は、これら招待状や会議資料を開催記録として保管すること。(電子データ保存も可)

○セキュリティ:電子システム会議は、デジタル経済社会省が作成したセキュリティ基準外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに則ること。

○開催要件:主催者は、電子システム会議を開催する際、以下5つの要件を遵守すること。なお4.および5.については議事録の一部とみなす。

1.参加者の本人確認(出席確認)を事前に行うこと

2.参加者が、通常投票、匿名投票ともに実施できるようにすること

3.書面で議事録を作成すること

4.非公開会議の場合を除き、会議中、音声録音、または音声録音と映像録画の両方で記録すること

5.参加者のログファイルを保管すること

(注)4月20日時点で、タイ商務省事業開発局(DBD)へのヒアリングによると、本勅令は、取締役会や株主総会にも適用される旨の説明があった。

(田口裕介、今泉美里)

(タイ)

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