新型コロナウイルス対策で中小・中堅企業向け輸出支援措置を発表

(フランス)

パリ発

2020年04月02日

フランスのブリュノ・ルメール経済・財務相は3月31日、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う企業支援の一環として輸出支援措置を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。公的投資銀行BPIフランスを通じた公的輸出信用の拡充が柱となる。中小・中堅の輸出企業の資金繰りを支援し、世界市場でのプレゼンスを維持するとともに、危機後の早期再建を確保するのが狙い。

具体的には以下の4つの柱からなる。

輸出企業の資金繰りの安定を図るため、中小・中堅企業の輸出を対象とした輸出再保険、輸出前貸し保証について、BPIフランスの貿易保険事業を通じた信用機関に対する公的保証の範囲を現行の80%から90%に引き上げる。その他の企業の輸出については保証範囲を50%から70%へ引き上げる。また、輸出前貸し保証の期間を4カ月から6カ月に延長する。

BPIフランスが、企業の海外市場開拓にかかる初期費用(現地への出張費、輸出担当者のポスト設立にかかる諸費用、見本市への参加など)の最大65%を保証する市場開拓保証の実行中の保証期間を1年延長する(2年契約は3年に、3年契約は4年に延長)。企業は同保証契約の署名時に保険額の50%を前金で受け取り、保険対象国での売り上げに応じて段階的に返済していく。

政府はBPIフランスの2年未満の短期輸出債権に関わる取引信用保険に対する再保険枠の上限を20億ユーロへと現行から倍増する。対象となる輸出相手国も現行の17カ国から、EU加盟国やOECD加盟国を含め全世界に広げる。

また、フランス貿易投資庁(ビジネスフランス)とBPIフランス、商工会議所から構成するチーム・フランス・エクスポール外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが地域圏(注)や民間の輸出支援企業などと連携し、海外市場について無料の情報提供を行う。地域別、セクター別、テーマ別のウェビナーなどを実施し、企業の海外市場開拓を支援する。

(注)地域圏(région):フランスの地方行政4段階(大きい順に、地域圏、県、市町村広域連合体、市町村)のうち最も広域な単位。2015年の改革でその数は海外領土を含めて22から13へ削減された。「州」と訳す場合もある。直接選挙(多数決と比例代表制の組み合わせ)で選出される議員から成る地域圏議会が主要な地域政策の方向性を決定する。地域圏議会議員が選出する地域圏議会議長は、地域政策の優先順位を設定するとともに、地域の予算を管轄する。議長には大臣経験者など政界の重鎮が就任する場合がある。

(山崎あき)

(フランス)

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