ロレックスなど独立系時計大手5社、2021年バーゼルワールドから撤退

(スイス)

ジュネーブ発

2020年04月21日

ロレックス、フィリップ・バテック、シャネル、ショパール、テュドーの5ブランドは4月14日、世界最大の宝飾・時計展示会バーゼルワールドへの出展を取りやめ、2021年4月に新たな展示会を開催すると高級時計財団(FHH)を通じて発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

バーゼルワールドは以前より集客や運営方針をめぐり事務局とテナントで対立があり、世界最大の時計グループであるスウォッチも2019年から出展を見送っている(2019年4月3日記事参照)。2020年は、スイスにおけるもう1つの主要時計展示会ウォッチズ&ワンダーズ(旧SIHH)と期間を連続させることで外国からのバイヤーの負担軽減を図るなどの工夫をしていたが、新型コロナウイルスの影響で、当初予定されていた2020年4月30日から5月3日の日程を2021年1月28日から2月2日に延期せざるを得なかった(2020年3月3日記事参照)。

これに伴い、支払い済みの2020年の出展料について、全額返金を求めるテナントと、2021年の展示費用に一部を繰り越し、最大でも30%までしか返金しないとする事務局との考え方に相違があることを4月4日付「ル・トン」紙が報じている。さらに、連動開催を予定していたウォッチズ&ワンダーズが2021年4月開催を予定しているのに、これとの期間調整や、運営方針についてテナント側との調整が図られた形跡もない。5ブランドは前述の共同コミュニケの中で、バーゼルワールドの運営事務局と価値観が共有できなくなったことが出展見送りの理由としている。

さらに、4月17日、残る主力テナントのフランスのLVMHグループ(TAGホイヤー、ウブロ、ブルガリなど)もバーゼルワールド出展をとりやめ、前述の5ブランドによる展示会に合流する意向を発表した。この展示会は、リシュモングループが主導するウォッチズ&ワンダーズと同時期の2021年4月に同じジュネーブで開催される。

100年以上の歴史を誇るバーゼルワールドの存続について、主催者はまだ態度を明らかにしていないが、問題は、本展示会以外に適切な露出機会をもたない独立系のスイス中小時計会社にとって今後も展示機会が確保されるかであろう。

(和田恭、マリオ・マルケジニ)

(スイス)

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