世界最大の時計・宝飾品展示会「バーゼルワールド2019」開催

(スイス)

ジュネーブ発

2019年04月03日

世界最大規模の時計・宝飾品展示会「バーゼルワールド2019」(通称:バーゼル・フェア)が3月21~26日にスイス・バーゼルで開催された。この展示会は1917年に始まり、各大手ブランドが新作を発表する場としても知られている。

今回の出展社数は520社で、ロレックスやパテックフィリップ、ショパール、LVMHグループなどのブランドが参加した。例年18ブランドを出展して最大の参加ブランドの1つだったスウォッチグループが方針変更から出展を見送ったことが大きく響き、出展社数は前年より130社減(20%減)、来場者数は22%減の8万1,000人だった。

バーゼルワールドのミシェル・ロリス=メリコフ最高経営責任者(CEO)は最終日の3月26日、展示会の魅力強化に向けた取り組みを示すため、2020年以降の新戦略「ビジョン2020+」を発表した。それによると、次回のバーゼルワールドは会期中だけでなく、年間を通してポップアップイベント(注1)などを開催するほか、新たなウェブプラットフォームを作成し、顧客とのコミュニケーションの場を増やすこと、出展料を10~30%ほど削減して出展者の負担を減らすことの検討、次世代スマートウォッチ向けの展示面積を拡張し、若い顧客の関心を集めることなどが打ち出された。また、2020年度はもう1つの時計展示会「SIHH」(注)と日程をそろえ、両方に参加したいバイヤーにとってスイスへの出張が1度で済むような体制を整えることも決まっている。

日本から新興時計メーカーも初出展

日本からはセイコー、カシオ、シチズン、mirco、ミヨタなどが出展した。このうち、mirco(埼玉県)は初出展。同社は、時計作りへの思いを大切に温めてきた高校時代の友人2人で2018年10月に起業し、約半年かけて出展準備や試作品づくりを進めてきた。同社の時計は1970年代のアメリカンカジュアルを意識したデザイン。こだわりは、クオーツではなく機械式時計であることだ。その時々のモデルを作るのではなく、基本的な構造を共有することで、長期にわたって部品保持、修理対応ができるようにし、一生使ってもらえる時計を作ることをコンセプトにしている。展示会ではスイスの時計店から引き合いを受け、今後の海外展開に良い感触を得たという。

写真 mircoブースの様子(ジェトロ撮影)

mircoブースの様子(ジェトロ撮影)

(注1)期間限定で行われる即席イベントのこと。

(注2)SIHH(通称:ジュネーブサロン)は毎年1月にジュネーブで開催。1991年にリシュモングループなどが中心となって発足させた高級時計に特化した展示会。2020年の会期は、SIHHが4月26~29日、バーゼルワールドが4月30~5月5日の予定。

(城倉ふみ、マリオ・マルケジニ)

(スイス)

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