2019年のGDP成長率は1.1%と低迷、第4四半期のマイナス響く
(チリ)
サンティアゴ発
2020年04月06日
チリ中央銀行の発表(3月18日)によると、2019年のチリの実質GDP成長率は1.1%となり、前年の3.9%に比べ成長が鈍化した。2019年10月に始まった反政府デモの影響を受け、第4四半期(10~12月)の成長率がマイナス2.1%まで落ち込んだことが大きく影響した(添付資料の表1参照)。
需要項目別にみると、総固定資本形成(投資)が4.2%増加し2019年の経済を牽引した。設備投資は低調だったが、建設関連の投資が好調だった。一方、消費は民間、政府ともに第1~第3四半期(1~9月)は好調だったものの、第4四半期はともに減退した。民間消費は主に教育、交通、レストラン、ホテルなどのサービス分野での消費が減少し、第4四半期はマイナス3.8%まで落ち込んだ。政府消費は公共教育サービスが減少して、同マイナス7.4%となった。通年ではそれぞれ1.1%、マイナス0.3%となった。
財・サービスの輸出入は、どちらも2.3%のマイナスだった。輸出は主に銅、鉄、製造品の輸出減によるもの、輸入は自動車、繊維、衣類、履物、化学製品の輸入減によるもの。
経済活動別にみると、成長に特に貢献したのは金融サービス、建設、企業サービスの3業種。GDP成長率全体への寄与率をみると、それぞれ30.5%、28.9%、25.0%となった(添付資料の表2参照)。建設と企業サービスの好調は、主に鉱業プロジェクトとマンションや住宅の建築の増加によるものだ。
一方、農林業と鉱業はそれぞれマイナス2.1%、マイナス2.3%となった。鉱業は主に銅と鉄の生産量の減少によるもので、大規模鉱山における鉱石の質低下と鉱業活動の一時的な停止が影響している。
チリ中銀は2019年12月に、2020年のGDP成長率の予想を0.5~1.5%と発表していたが、4月1日には新型コロナウイルスが経済に与える影響を考慮し、予想成長率をマイナス2.5~マイナス1.5%へ大きく下方修正している。
(岡戸美澪)
(チリ)
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