カナダ連邦政府、医療機器・備品の調達に20億Cドル支出へ

(カナダ)

トロント発

2020年04月02日

カナダのジャスティン・トルドー首相は3月31日、定例会見で新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために必要な医療機器・備品などについて、カナダ企業3社と調達契約を結んだと発表した。この3社はソーンヒル・メディカル(Thornhill Medical)、メディコム(Medicom)、スパータン・バイオサイエンス(Spartan Bioscience)で、各社とも生産能力を増強している。今回の計画は、3月20日にトルドー首相が発表した官民連携の医療用品の増産計画(2020年3月25日記事参照)に基づくもの。首相は「これらの製品は需要が拡大していることから、持続可能で、安定的に供給のできる製品をカナダ国内で製造することが重要」と述べた。

携帯用人工呼吸器の発注を受けたソーンヒル・メディカル(本社:オンタリオ州トロント)は独自の携帯用計測機器や人工呼吸器を開発したトロントのヘルスケア・医療分野の研究機関、ユニバーシティー・ヘルス・ネットワークからのスピンオフで、オンタリオ州ゲルフの自動車部品メーカーのリナマーと提携することで生産能力を拡大してきた。外科用マスクを製造するメディコム(本社:ケベック州モントリオール)は医療・歯科・産業用の使い捨て予防製品メーカーで、日本にも子会社を持つ。検査キットを製造するスパータン・バイオサイエンス(本社:オンタリオ州オタワ)は世界最小級のDNA分析器を開発したバイオテクノロジー企業だ。

このほか医療施設などで使用する備品などを十分に供給するために、連邦政府は、プレシジョン・バイオモニタリング(Precision Biomonitoring、本社:オンタリオ州ゲルフ、検査キット)、フルイド・エナジー・グループ(Fluid Energy Group、本社:アルバータ州カルガリー、化学薬品)、アービング・オイル(Irving Oil、本社:ニューブランズウィック州セントジョン、石油精製)、カルコ・グループ(Calko Group、本社:ケベック州モントリオール、医療用衣類)、スタンフィールズ(Stanfield′s、本社:ノバスコシア州トルロ、衣類)の5社と基本合意書に署名し、検査キットや手指消毒剤、医療用のマスク、ガウンを発注している。

これらの企業との調達契約や発注などは、総額で20億カナダ・ドル(約1,520億円、Cドル、1Cドル=約76円)に上る。

なお、3月31日時点のカナダでの新型コロナウイルス感染者は8,536人、死者96人となっている。

(酒井拓司)

(カナダ)

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