1~3月の失業率は4.2%、過去9年で最も高い水準

(香港)

香港発

2020年04月21日

香港政府統計処は4月20日、1~3月の失業率(季節調整済み、速報値)は4.2%で、2019年12月~2020年2月期から0.5ポイント上昇したと発表した。この9年で最も高い水準となった。

香港の失業率は、2018年は通年で2.8%、2019年に入っても同水準で推移していたが、「逃亡犯条例」改正案への抗議活動が活発化した同年中盤から2.9%へ上昇し、8~10月期以降は6期連続で悪化している(表参照)。

表 失業率の推移

小売り・ホテル・飲食業の失業率は金融危機以来の高水準

香港政府労働・福祉局の羅致光局長は「新型コロナウイルスの感染拡大が多方面にわたる経済活動に影響を与えており、労働市場は急激に悪化している」とし、特に「消費や観光関連産業(小売り・ホテル・飲食業)の失業率は6.8%で、2009年8~10月の金融危機以来最高水準となった。中でも飲食業は状況が厳しく、8.6%と急上昇している」とした。

失業率は早晩5%突破か

SARS流行時の2003年5~7月期の失業率は8.7%まで上昇し、金融危機時の2009年4~6月期は5.4%の水準で3期連続推移した。現在、経済の落ち込みは深刻になっており、失業率は早晩5%を突破するとの見方もある。

政府は既に、企業の雇用維持を目的とした賃金補助などの経済対策を打ち出した(4月13日記事参照)。関連対策を早期に実施し、SARSや金融危機時のような雇用情勢悪化を最小限に食い止められるか、今後注目される。

(渕田裕介)

(香港)

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