2019年は17年連続のプラス成長達成も、2020年は景気後退入りを懸念

(ウルグアイ)

ブエノスアイレス発

2020年04月01日

ウルグアイ中央銀行は3月19日、2019年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率が前年同期比0.2%、前期比(季節調整済み)、マイナス0.6%になったと発表した。2019年通年では0.2%となり、17年連続のプラス成長を達成した(表参照)。

表 実質GDP成長率(通年)

2019年通年のGDPを産業分野別にみると、輸送・倉庫・通信が3.5%増加した。GDP全体に対する寄与度は0.7%ポイントで、同年の経済成長に最も貢献した産業分野となった。同分野が成長した理由として中銀は、電気通信産業の好調を挙げている。また、輸出用電力の生産量が増えたことで、電気・ガス・水供給が5.7%増加した(GDP寄与度は0.1ポイント)。

一方、一次産品(3.8%減)、製造業(1.1%減)、建設業(2.0%減)、商業・修理・ホテル・レストラン(2.1%減)などは減少した。中銀によると、一次産品がマイナスとなった要因は、主として食肉加工工場での食肉処理と生体牛輸出の減少によるもの。また、商業・修理・ホテル・レストラン部門が減退した要因は、主として観光客数の減少によるものだとしている。

需要要素別にみると、GDPの7割近くを占める民間消費は0.5%増加して経済を牽引した(GDP寄与度:0.4ポイント)。また、総固定資本形成は1.4%増だった(0.2ポイント)。中銀によると、民間設備投資が堅調だったためだ。一方、在庫投資も加えた総資本形成は2.9%の減少となった。財・サービスの輸出は1.2%増、輸入は0.2%増だった。その結果、外需(輸出-輸入)の寄与度は0.2%ポイントのプラスになった。

2020年の経済見通しについて、IMFは2020年2月時点で2020年の実質GDP成長率が2.1%としていた。しかし、新型コロナウイルスの影響が直撃する中、3月19日付「エル・パイス」紙で、現地調査会社ビクシオン・コンスルトーレスのアルド・レマ氏は、ウルグアイ経済が景気後退入りする可能性を指摘している。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で、2020年第1四半期のGDP成長率は前期比マイナスとなる公算が大きく、その場合、2019年第4四半期に続いて2四半期連続のマイナス成長になるためだ。

(津下みなみ)

(ウルグアイ)

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