新型コロナウイルス対策法施行、経済対策のための基金も設立

(ハンガリー)

ブダペスト発

2020年04月08日

ハンガリーで3月31日、新型コロナウイルス対策法が施行された。主な内容は以下のとおり。

  • 政府は、特定の法律の適用を停止、その他の法規制からの逸脱、政令による追加の緊急措置発布が可能。
  • これによる権限および発布された政令は非常事態終了まで有効。
  • 非常事態が終了するまで選挙および国民投票は実施不可。
  • 憲法裁判所は引き続き機能する。
  • 虚偽の情報を流した者は最高5年の禁固刑、新型コロナウイルス感染拡大防止策を阻害した者には最高8年の禁錮刑。

ただし、同法に対してはEU各国から法の支配、民主主義、基本的人権の原則に抵触するリスクがあるとの懸念が表明された。ベルギー、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデンは、「共同声明」を発表、措置は必要な場合のみに限られ、さらに一時的、比例的な性質のものであるべきとした。ハンガリー政府は、有効期限は非常事態終了時までで、「無制限の権限付与ではない」と述べている。一方、欧州議会の最大会派 EPPに属するEU各国の政党13 党は、ドナルド・トゥスクEPP代表に対し、ハンガリー与党のハンガリー市民同盟(フィデス)の除名を求める公開書簡を送付した。

各種経済対策も実施

ハンガリー国立銀行は既に2020年末まで、全ての個人および法人向けローンの元本、利息および手数料の支払いの一時免除を宣言していたが、その後、2020年3月18日までに実行されたクレジットカードと雇用者ローン、家賃の支払いなどを含む、全ての信用、ローン、リース契約についても支払いが猶予されると発表した。

また、ハンガリー政府は2020年予算を見直し、新型コロナウイルス対策基金を設立すると発表した。規模は1兆3,450億フォリント(約4,300億円、1フォリント=約0.32円)。各省庁予算や政党への補助金、多国籍企業からの税収などを財源に充てる。同基金は今後策定される経済対策の資金にもなる。

失業者への対応や自家用車の利用推進

ハンガリーでは新型コロナウイルスの影響により失業者はこれまで3万人増加し、4月に入り1日4,000人ペースで増えている。一方で食品産業や農業分野では労働力不足が問題となっており、農業省は生産者と労働者をマッチングするウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを立ち上げた。

そのほか、公共交通機関利用による感染リスクを下げるため、4月6日から公共駐車場を無料化し自家用車利用を推奨すると発表した。ブダペスト市内のシェアバイクサービス、モル・ブビ(MOL Bubi)も感染拡大への対策として3月14日以降月額100フォリントで利用可能とすることを発表している。

(奥村明子)

(ハンガリー)

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