自動車メーカー各社、雇用を維持して4月末以降の操業再開を模索
(ブラジル)
サンパウロ発
2020年04月30日
ブラジル自動車製造業者協会(ANFAVEA)のルイス・モラエス会長は4月23日、新型コロナ感染拡大防止措置により各販売店が閉鎖に追い込まれ、かつ需要も激減した結果、新車販売登録台数は閉鎖措置実施前の5分の1に縮小したと発表した。
同会長の説明によると、現在国内では約43工場が操業停止中で、各メーカーは従業員賃金の一時的な削減を行い雇用の維持とキャッシュ不足を防ぐ措置を講じている。操業再開時期は各社によって異なり、4月末、5月中旬、6月が見込まれている。ただし、操業再開しても、販売需要の低迷に加えて、従業員を感染から守り、製造機械を洗浄する必要もあり、生産量はすぐには回復しない見通しだ。
感染収束後の自動車販売需要について会長は、「第3四半期以降は改善するかもしれないが、2020年の生産・販売は昨年よりさらに大幅減となることは明白だ」と語っている。ブラジルにおける自動車輸出は、2019年も主要輸出先であるアルゼンチンの経済低迷を受け、前年比31.9%減と大きく減少している。
当地各種報道によると、主要メーカーの対応と操業再開予定は以下のとおり。
・フォルクスワーゲン(4月21日付「G1」紙)
国内4工場で労働時間を30%削減。
総給与額を30%削減、従業員への支払い給与額は維持。操業再開は4月末。
・GM(4月13日付「ヴェージャ」紙)
工場従業員の賃金を5〜25%削減。操業再開は6月。
・フィアット・クライスラーFCA(4月22日付「G1」紙)
労働時間を平均20%、賃金を10~20%それぞれ削減。
再度評価する可能性があるが、操業再開は5月中。
・トヨタ(4月14日付「G1」紙)
従業員への支払い給与額を従来の75%から100%とする
6月22日に3工場、同24日に1工場の操業再開。
早急に操業再開できる場合は同予定を見直す。
・ホンダ(4月23日付「G1」紙)
国内2工場で従業員への支払い給与額を0~25%削減。
操業停止は6月25日まで。
・日産(4月22日付「G1」紙)
工場従業員の労働時間・賃金削減。
操業停止は5月21日まで。
・現代(4月23日付「G1」紙)
工場従業員への支払給与額を維持。
5月27日に操業再開。
なお、ブラジルでは雇用を維持する目的で大統領暫定措置令(MP936号)が4月1日に施行されており、国内企業は、(1)雇用契約の一時的停止(最長60日間)、(2)従業員の勤務時間に比例した給与の最大70%まで削減(最長90日間)が可能となり、年商480万レアル超える企業については、政府が従業員給与削減分の70%を失業保険から補助・給付する(2020年4月9日記事参照)。
(大久保敦)
(ブラジル)
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