臨時法成立で、保健相命令に法的拘束力、経済的打撃受けた法人・個人を支援
(シンガポール)
シンガポール発
2020年04月08日
シンガポールの国会は4月7日、新型コロナウイルスの感染を抑制するための措置により、経済的な打撃を受けた法人や個人の支援を目的とした「Covid-19(臨時)法」を成立させた。同臨時法の成立により、保健相による集会の禁止や、感染者収容のための一時的接収命令などに法的拘束力が生じる。また、経済的な打撃を受けた法人や個人を支援する措置が導入された。
今回緊急設立した同臨時法では、感染拡大防止を目的とした、(1)施設の閉鎖、(2)施設の利用制限、(3)集会の場所、人数や規模を問わず制限、(4)感染者収容のための一時的な土地、建物の接収、の内容で保健相による命令に法的拘束力を持たせた。違反した場合には、最高1万シンガポール・ドル(約76万円、Sドル、1Sドル=約76円)または6カ月の禁錮刑、もしくはその両方を科す。ガン・キムヨン保健相は、「感染が公衆衛生に深刻な脅威を与え、感染防止または抑制に必要と判断した時のみ、同臨時法に基づき命令を行う」と強調した。
このほか、同臨時法では、不動産会社に対し入居企業へ、新型コロナウイルス経済対策支援で導入された不動産税100%の払い戻し(リベート)のの還元を義務付けている(2020年4月3日記事参照)。また、新型コロナウイルスにより経済的な打撃を受けた個人や法人に対し、一時的に契約履行を猶予する措置も盛り込まれた。
国内感染者は1,481人に、外国人建設労働者などのドミトリーに感染急拡大
政府は国内での感染の拡大を受けて4月7日から5月4日まで、日常生活やサプライチェーン維持に必要な事業活動以外の職場を閉鎖する措置に踏み切った(2020年4月6日記事参照)。同国で4月7日までに確認された新型コロナウイルスの感染者は累計で1,481人(うち、377人が回復、29人が重篤者、6人が死亡)となった。最近では建設現場などで働く低熟練外国人労働者が宿泊するドミトリー9カ所が感染クラスターとなり、4月6日までにこのうち3カ所が封鎖。同3カ所に居住する2万人以上の労働者が施設内に隔離されている。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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