大連自由貿易試験区で中国初となる水素燃料電池大型トラックの走行実証に着手

(中国)

大連発

2020年04月09日

3月25日、大連自由貿易試験区において、洺源科技(大連)の水素燃料電池システムを搭載した大型トラック(最大積載量36トン、最長航続距離800キロメートル)の走行実証が開始された。これは、水素燃料電池システムを搭載した大型トラックの走行実証として、中国初の取り組みとなる。

大型トラックは、18~36トンの積載が可能な水素燃料電池を搭載しており、洺源科技(大連)、新源動力、東風汽車の3社で共同開発された。洺源科技(大連)が開発した動力システム、車両制御ユニット(VCU)、水素制御ユニット(HCU)と、新源動力が開発したHYMODシリーズのスタックモジュールが搭載されている。

洺源科技(大連)は、2016年に設立、燃料電池動力システムの開発と生産を行う新興企業であり、新源動力は、中国科学院大連化学物理研究所などの共同出資により2001年に設立、「燃料電池・水素エネルギー技術国家工程研究センター」として中国国家発展改革委員会の事業受託の実績もあるハイテク企業だ。

大連市は、中国国内で初めて燃料電池の研究開発に取り組んだ中国科学院大連化学物理研究所があり、燃料電池の中核材料・部品の研究、国家基準と産業基準の制定や統一など燃料電池産業の発展に大きく貢献してきた。

2016年9月、大連ハイテクパーク内に中国初の風力・太陽光発電による70MPa規模の水素ステーションが建設された。2019年4月、長城自動車と大連市ボイラー圧力容器測定研究院が、共同で中国唯一の水素設備測定センターを設置した。

今回の大連市の大型トラック用の水素燃料電池技術の商用化に向けた取り組みによって、水素燃料電池車のコストダウンやインフラ整備など課題を克服し、水素モビリティ社会の実現に向けた動きが加速していくことが期待される。

(李莉)

(中国)

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