広州市、新型コロナウイルス対策でライブコマースの動きに注目

(中国)

広州発

2020年04月20日

広州市商務局は3月23日、「ライブコマース(注)の発展行動方案(以下、方案)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、2022年までに広州市をライブコマース産業の一大集積地として発展させる計画を示した。

方案の主な内容は、(1)広州ライブコマースのシンクタンク(専門家委員会)を設立し、市場・業界の分析・調査を実施、(2)ライブコマースのインフラ整備およびライブコマース企業の育成、(3)卸売市場、実店舗、ライブコマース企業などと協力し、宿泊、飲食、旅行、自動車などの業界でライブコマースを運用する、(4)ライブコマース関連の人材育成、(5)ライブコマースに関するフォーラムや、販売者間で売り上げを競うイベントなどを開催する、としている。

4月13日には、広州ライブコマース・シンクタンクが設立された。ライブコマースに関連する人材育成、情報共有、経営状況の調査・分析などを行うとしている。

新型コロナウイルス対策としてのライブコマース

中国では、新型コロナウイルスの感染が収束に向かい始めたが、国民の感染への警戒感は依然強く、現在も外出を自粛し、ネットを利用したオンラインショッピングを行う傾向が強い。また、実店舗を経営する企業側も、こうした状況下でeコマース・ライブコマースを展開したいとの意向が強い。

アリババ傘下のeコマースサイト、淘宝(タオバオ)が3月29日に発表した「2020タオバオ・ライブコマース新経済報告」によると、2019年の広州市のタオバオ・ライブコマース配信者数は総配信者数の7.4%を占め、中国全土で杭州市に次ぐ2位だった。新型コロナウイルスの影響もあり、2020年2月のタオバオライブの新規登録者は前月比で7.2倍に急増した。

広州市では現在、100カ所以上の専門卸売市場でライブコマースが開催されている。中でも、アパレルの卸売りで有名な沙河市場では、ライブコマースを行う販売者が多く、中国で有数のライブコマース中継地となっている。最近は、百貨店や飲食店、工場など新たにライブコマースを始める企業も増えている。広州市商務局の林国強副局長は、今後のライブコマースを発展させる上で、広州市の卸売市場や貿易会社など業種、業界を超えて環境を整備していくことが重要との見解を示した(「経済日報」4月10日)。

新型コロナウイルス感染の終息後、人々の実店舗での消費活動が回復すれば、ライブコマース・ブームもすぐに終わってしまうとの指摘も一部にあるが、今後の動向が注目される。

(注)EC(電子商取引)サイトやフリマアプリを利用して、ライブ配信で商品説明を行いながら商品を販売すること。

(梁梓園)

(中国)

ビジネス短信 8a192cc062f5238e