労働者住宅基金庁、雇用主負担繰り延べの恩典発表

(メキシコ)

メキシコ発

2020年04月30日

メキシコ労働者住宅基金庁(INFONAVIT)は4月27日、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた企業の資金繰りを支援し、雇用を維持するための救済策を発表した。3月25日開催の同庁運営審議会第830回通常会合で決定されたものだが、今まで周知されていなかった。INFONAVITは正規労働者の住宅購入のための低利融資を行う政府機関で、雇用主が労働者の基準給与(ベネフィットを含む)の5%について2カ月単位で労働者の個人年金運用口座(AFORE)に振り込み、その資金が労働者の住宅ローン活用の際の頭金となる。今回の恩典は、その雇用主負担の支払い繰り延べであり、企業の雇用規模に応じて以下のとおりとなる。

【従業員が250人以下の中小零細企業】

3~4月分と5~6月分の支払いについて、本来の5月および7月ではなく、9月(17日)まで繰り延べ。3月24日以前にINFONAVITとの間で雇用主負担の分割払い協約を結んでいた場合、5~8月に支払う予定だった分を9月にまとめて支払うことを認める。

【従業員が250人超の大企業】

3~4月分の支払いについて、本来の5月ではなく、7月(20日)まで繰り延べ。INFONAVITとの間で雇用主負担の分割払い協約を結んでいた場合、5~6月に支払う予定だった分を7月にまとめて支払うことを認める。

双方とも繰り延べ期限までに支払えない場合、INFONAVITに申請することで、その後12回の分割払いにすることができるが、その場合は月間1.26%(年率換算16.21%)の延滞金利が発生する。なお、分割払いではなく期限内の繰り延べについては、月単位の消費者物価指数(CPI)に基づくインフレ調整は適用されるものの、延滞金利は月間0.01%に減額される。

6月30日までの申請を

最低賃金〔1日123.22ペソ(約555円、1ペソ=約4.5円)〕の3倍に相当する基準給与(月額1万1,237.66ペソ)の労働者を250人雇用している企業の場合、雇用主負担は月額合計14万471ペソに相当するため、この雇用主負担金の繰り延べは相応の意味を持つ。

繰り延べ申請はINFONAVITのウェブサイトで受け付けている。3~4月の分、あるいは分割払いで5~6月に支払う分については6月30日まで、5~6月の分、あるいは分割払いで7~8月に支払う分については8月31日までに申請を行う必要がある。なお、この繰り延べについては、INFONAVITの融資をまだ活用していない労働者に関する雇用主負担が対象で、融資を活用している労働者については適用されない。融資を活用している労働者に対する恩典については、2020年3月31日記事参照。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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