労働者住宅基金庁が193億ペソの新型コロナウイルス対策を発表

(メキシコ)

メキシコ発

2020年03月31日

労働者住宅基金庁(INFONAVIT)は3月26日、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受けた労働者および雇用主に対する総額193億2,600万ペソ(約918億円、1ペソ=約4.75円)におよぶ救済策を発表した。同救済策は主に以下の3つから成り、4月15日から申請が可能だ。

  1. 新型コロナウイルスの影響で失業した労働者で、INFONAVITに住宅ローンを返済中の場合、3カ月まで返済をINFONAVITが肩代わりする。
  2. 新型コロナウイルスの影響で就業が停止されている、あるいは収入が減っているINFONAVITの融資を受けている労働者に対し、3カ月間(追加で3カ月延長可能)の返済(元本および利子)を免除する。
  3. INOFONAVITの融資を受けている労働者が働いている企業が一時的操業停止に追い込まれた場合、労働・社会保障省(STPS)に正式に届け出ている場合は、当該労働者のローン返済分(当該労働者の給与から天引きして企業が支払う)から25%の割引を行う。

1.には既に蓄えられている労働者失業保険基金から73億2,600万ペソが拠出される。2.は支払いが猶予されている間は借入残高が凍結され、利子が発生しない。3.については最長で12カ月まで適用可能であり、仮に保健当局が「衛生状態の危機」を宣言し、全ての事業所の操業を強制的に停止させた場合、INFONAVITの融資を受けている全ての事業所の労働者が同じ扱いとなる。

金融機関も家計と小規模事業者の支援に動く

新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞を受け、民間の金融機関もINFONAVIT同様、融資を提供している個人や企業に対して、元利の返済をしばらく猶予する支援を開始している。メキシコ資本の大手商業銀行バノルテ(Banorte)が3月24日、他行に先駆けて返済を4ヵ月間猶予する支援策を発表した。その後、メキシコ銀行協会(ABM)の要請を受けて国家銀行証券委員会(CNBV)が3月25日、2月28日時点で支払いが遅れていなかった債権であれば、新型コロナウイルスの悪影響を緩和する目的で最大6ヵ月まで返済を猶予しても銀行の会計処理上は不良債権と見なさないという方針を発表したため、スペインのBBVAやサンタンデール銀行、英国のHSBCなど他行も相次いで同様の支援を表明している。対象となるのは、クレジットカード、住宅ローン、自動車ローン、個人向けローン(給与担保)、中小企業向け小規模貸付などである。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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