新型コロナと戦う在ブラジル企業の社会貢献活動
(ブラジル)
サンパウロ発
2020年04月28日
ブラジルでは新型コロナの感染拡大が続き、感染者や死亡者が急増している(最新値)。政府は、感染拡大防止対策の策定や医療支援のほか、社会的弱者救済や中小零細企業の雇用維持を目的とした緊急経済対策を講じている。
そうした中、4月7日、大統領府官房は国内企業の社会貢献活動の潜在力に着目し、新型コロナ対策への募金と資財サービスの無償提供を募集する「トードス・ポル・トードス(皆のための皆)」キャンペーンを開始した。大統領府官房は、ミッシェル・ボルソナーロ大統領夫人が参加したキャンペーンのビデオ映像を公開し、感染流行対応への連帯、住民への奉仕、政府への寄付提案を呼び掛けている。キャンペーン専用WEBサイト
を通じて、1口最低30レアルの募金や企業等による製品・サービス無償提供の提案登録が可能で、募金は海外から送金もできる。
また、ブラジルの国内企業も様々な社会貢献活動に取り組んでいる。感染防止に欠かせないマスクやアルコールジェルを生産し無償提供する企業や、人工呼吸器や医療従事者向け防護具を生産、無償提供する企業、野外病院を建設する企業もある。また、ウイルスの研究開発を支援する企業やウイルスゲノム解析のためにスーパーコンピュータを提供する企業もある。政府や地元自治体に対して、衛生・清掃資財を提供したり、輸送車両の提供、物流サービスまで提供する企業もある。さらに、自治体の自宅待機措置により働けなくなった社会的弱者の救済や中小零細企業の雇用維持支援を行う企業も出ている(主要企業のCSR事例は添付資料参照)。
ブラジル募金協会(ABCR)は4月1日から、新型コロナ対策に関連した寄付の事例を、報道ベースのものを中心に過去にさかのぼって取りまとめて発表している。ABCRによると、寄付額は4月中旬時点で30億レアル(約600億円、1レアル=約20円)。これは同協会の年間募金額を超えており、向こう2カ月でさらに50億レアル増加すると同協会は期待している。
(大久保敦)
(ブラジル)
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