新型コロナウイルス感染症対策で税制法案成立を急ぐ

(フィリピン)

マニラ発

2020年04月28日

財務省(DOF)および国家経済開発庁(NEDA)は4月22日、今国会で審議されているフィリピン経済特区庁(PEZA)などの経済特区の税制優遇制度(注1)の抜本的見直しを規定する税制改革第2弾法案(CITIRA法案)(2019年10月2日付地域・分析レポート参照)について、法案内容を調整したうえで早急に可決させる必要があると発表した。4月23日付けでビジネスワールドほか地元各紙が報じた。フィリピン経済特区庁(PEZA)などの経済特区には、日系企業を含む多くの外資系企業が入居しており、注目が集まっている。

DOFのカルロス・ドミンゲス長官は、新型コロナウイルスの国内感染拡大の状況を踏まえ、二つの側面からCITIRA法案を調整する必要があるとした。一つは、外出禁止や公共交通機関停止を含む広域隔離措置(ECQ)によって影響を受けた産業への痛みを緩和すること、もう一つは景気刺激策や労働者救済のために数十億ドルの支出を余儀なくされている政府の税収を補強することとした。ドミンゲス長官はさらに、財政インセンティブ審査委員会(FIRB)(注2)に対して、個々の企業の状況に従ってテーラーメードの支援を行う権限を与えることも検討しているとした。

財務省次官としてCITIRA法案を含む税制改革を主導し、4月17日にアーネスト・ペルニア氏の後任としてNEDA長官代行に就任したばかりのチュア長官代行は、新型コロナウイルス対策予算の計上によって生じる政府債務を清算するためにも可能な限り早く政府の財政収入の増加に繋がるCITIRA法案を成立させる必要があるとした。なお、今国会会期は5月4日に再開し、6月5日に閉会する。

(注1)PEZAに入居する製造業の場合、(1)法人所得税の3~6年間の免除(ITH)、(2)ITH終了後は売上総利益の5%を法人所得税とする特別所得税率の適用、(3)関税、埠頭(ふとう)税、輸出税の免除、(4)税関手続きの簡略化、などが適用されている。

(注2)経済特区庁(PEZA)や投資委員会(BOI)といった投資誘致機関(IPA)による企業への各種税制優遇措置の付与に係る許認可権限を有するとCITIRA法案において創設を規定されている委員会。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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