ロシア中銀、主要政策金利を引き下げ、20年成長見通しも下方修正

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年04月30日

ロシア中銀は4月24日、主要政策金利を6.0%から5.5%に引き下げた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大を背景に国内の経済活動が著しく低下していること、それに伴うリスクの高まりによる融資条件の厳格化への対処と説明している。主要政策金利が5.5%となるのは2014年2月以来約6年ぶり。

4月10~16日の間に実施したアンケート調査結果によると、受注減もしくは受注キャンセルとなった企業は回答企業の50%以上に達し、政府による支援が必要な企業は85%に上っている。多くの企業が運転資金不足や資金流動性面で問題を抱えており、これに対する融資需要が拡大する中、特に中小企業向けの金利が上昇していると中銀は指摘している(ロシア中銀発行週刊誌「ファイナンスプラス」4月24日)。

2020年通年のGDP成長率見通しについては、4月3日時点でプラス1.5~2.0%としていたものをマイナス4~6%と大幅に下方修正した。特に2020年第2四半期に大きく落ち込むと見込んでいる。一方、来年以降はCOVID-19拡大防止によって制限を受けた経済活動が再開するため、2021年をプラス2.8~4.8%、2022年はプラス1.5~3.5%となるとみている。

会計検査院のアレクセイ・クドリン議長は2020年のGDP成長率がマイナス7~8%と大幅に下落するとの見方を示し、「今回の経済危機では、ほぼ全ての産業で製品・サービスの消費が90%以上落ち込んだ。通常の経済危機よりも深刻」と述べた(「タス通信」4月26日)。

今後のロシアのGDP成長率予測値は機関によって様々だ。IMFは4月14日、2020年をマイナス5.5%、2021年をプラス3.5%と発表。ロシアの民間格付会社アクラはそれぞれマイナス4.5%、2021年プラス2.2%(4月21日)、世界的に有名な格付会社フィッチはマイナス3.3%、プラス2.5%(4月22日)としている。

(齋藤寛)

(ロシア)

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