米ニューヨーク州知事、事業再開に向けた方針案を発表、大統領予備選は中止

(米国)

ニューヨーク発

2020年04月28日

アンドリュー・クオモ米ニューヨーク州知事(民主党)は4月26日、州内の事業再開に関して、地域的な分析に基づき段階的に行っていく方針案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを示した。米疾病予防管理センター(CDC)の指針に基づき、14日間連続で入院率の低下が見られた場合に段階的に事業を再開するとした。また、州は入院率や感染率などを注視し、都度計画の調整や変更を行うとしている。

州の一部は5月15日に事業再開の可能性

クオモ知事は第1段階として、感染拡大のリスクが低い建設業と製造業を再開させる考えを示した。第1段階が開始された後は、2週間かけて入院率や感染率を注視し、次の段階に移ることができるか検証するとしている。第2段階では、産業分野は特定されていないが、再開の優先度とリスクのレベルを勘案して決めるとしており、感染率が低下した場合、事業再開の間隔を短縮していくとした。他方、州内各地域において、地域外から大人数を呼び込む娯楽施設やビジネスイベントを再開することは引き続き禁止となる。

また、クオモ知事は、いずれの段階においても事業の再開は、事業者が従業員や顧客を保護し、物理的な作業空間を安全に保ち、事業において感染のリスクを抑え込む工程を含む計画に基づくべきとしており、州政府は各自治体や産業界のリーダーと、どのような計画を策定すべきか調整を行っているとした。クオモ知事は翌日の27日の記者会見で、州内の一部地域については、州全体に敷いている現在の外出禁止令が失効する5月15日に事業再開ができるかもしれないと述べる一方で、その他地域については外出禁止令を延長する考えを示した。

ニューヨーク州が全米で初めて大統領予備選挙を中止

複数の米メディアによると、ニューヨーク州選挙管理委員会は4月27日、新型コロナウイルスの感染拡大リスクを受けて、6月23日に予定されていた大統領選挙にかかる予備選挙を中止する判断を行った。委員会の理事の1人であるダグラス・ケラー氏は「不要な社会的接触を回避することが重要な時において、人気投票のような予備選挙はもはや必要ない。投票者と選挙管理担当者の両方にとってリスクを高めるだけだ」と判断の理由を述べている(CNN4月27日)。民主党の大統領候補は、4月8日にバーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)が選挙戦からの撤退を表明した時点で事実上、ジョー・バイデン前副大統領に確定している(2020年4月9日記事参照)。

(磯部真一)

(米国)

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