米自動車団体、メキシコの部品メーカーの操業継続に向けトランプ政権に支援を要請

(米国、メキシコ)

ニューヨーク発

2020年04月13日

米自動車部品製造協会(MEMA)は4月6日、米商務長官と米通商代表部(USTR)代表宛てに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い非常事態宣言を出したメキシコ政府に対して、同国における自動車部品メーカーの操業を必要不可欠な業種に認定するよう働きかけることを求める書簡を送付した。米国の業界団体が他国の政策変更を米政権に求めるのは異例であり、今後米政権による働きかけが始まる可能性がある。

また、MEMAは書簡の中で、北米の自動車産業が安全かつ効率的に通常時の操業に戻れるよう、米国・カナダ・メキシコ3カ国間の協議を設ける必要性を訴えた。メキシコでは3月31日に公布された保健省令(2020年4月1日記事参照)で、自動車部品製造は必要不可欠な業務と明示されておらず、企業が例外認定を申請する手続きも担保されていない。MEMAの要望の具体的な内容は以下のとおり。

  1. メキシコでの自動車補修部品メーカーの操業を必要不可欠な業務として支援するとともに、同部品メーカーが米国の流通業者や小売業者に製品を輸送できるようにすること。
  2. メキシコ政府による保健省令について、メキシコを拠点とする自動車部品メーカーの生産および北米域内での輸送が行えるよう省令の内容を具体化すること。

1.については、米国の自動車サービス会社や修理工場が、救急・消防車などを含む全ての消費者ニーズを満たすために稼働する上で、メキシコからの部品供給が必要だとして、メキシコでの補修部品の製造・流通だけでなく、米国への輸送も認めるよう求めている。

2.では、北米地域での完成車製造にはメキシコからの部品供給が不可欠であるが、今の非常事態宣言下では同国の部品メーカーの操業は法律違反の恐れがあり、今後の操業に深刻な懸念があると訴えている。メキシコの保健省令は制限する企業活動の範囲などが不明確なため、在メキシコ企業の混乱を招いており、メキシコ自動車部品工業会(INA)は関係閣僚に対してMEMAの要望と同じ趣旨の書簡を送付している(2021年4月3日記事参照)。

(藪恭兵)

(米国、メキシコ)

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