商業用不動産の賃貸契約における中小企業救済措置を発表

(オーストラリア)

シドニー発

2020年04月08日

オーストラリアのスコット・モリソン首相は4月7日、新型コロナウイルスによって影響を受けた中小企業を救済するため、商業用不動産の賃貸契約に関する義務的行動規範PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。

先に発表された連邦政府による賃金補助(2020年4月1日記事参照)の支給対象企業で、年間売上高が5,000万オーストラリア・ドル(約33億円、豪ドル、1豪ドル=約66円)以下の中小企業がテナントの場合、義務的行動規範に示された原則に基づいて、商業用不動産のオーナーとテナントが合意することが求められる。

適用されるべき原則として、テナントの売上高の減少に比例して、賃料負担を最大100%まで削減することとされており、賃料負担を免除する場合は最低50%以上、繰り延べの場合は最低24カ月以上の救済措置が求められている。また、オーナーが土地税や地方税などの減免やローンの返済猶予などの支援を受けた場合、テナントにもその利益を還元する必要がある。さらに、ビジネスが回復しておらず、テナントに過度な負担がかかっている間は、オーナーはテナントに対して返済を要求しないよう求められている。加えて、賃料の未払いを理由に契約を終了したり、手数料や利息を課したり、保証金を請求したりすることは禁止され、賃料の値上げも凍結される。一方、テナントは、こうした救済措置を受ける代わりに、賃貸契約を順守することが求められる。

今後、義務的行動規範に基づいて、各州・準州政府は立法化を進めることとなる。オーナーとテナントの間で義務的行動規範に基づいた合意ができない場合、各州・準州政府によって調停の場が設けられる。

(住裕美)

(オーストラリア)

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