中国の2月の失業率は6.2%、国を挙げて雇用の安定に注力

(中国)

大連発

2020年04月10日

中国国家統計局の発表によると、2月の失業率は前月比0.9ポイント増の6.2%となった。新型コロナウイルスの影響を受けて休業した企業が増加し、求人件数が下がったことが主要な原因だ。北京大学光華管理学院と大手求人情報サイト「智聯招聘」の調査によると、1~2月の求人件数は前年同期比で32.4%減少した。業種別にみると、文化、メディア、娯楽、スポーツ関連が約40%減、IT、通信、電子部品、インターネット関連が約30%減と、落ち込み幅が最も大きかった。

国家発展改革委員会の高杲副秘書長は3月23日の記者発表で、新型コロナウイルスの急速な拡大による世界経済と中国経済への影響は予測困難とし、雇用の安定に向けた課題は多いと指摘した。また、中央政府と各地方政府は企業向けの減税や各種費用の減免などの支援策を通じ、企業による雇用の安定を支援していると述べた。

新卒採用を行う中小零細企業に補助金支給

新型コロナウイルスは大学生の就職にも影響を及ぼしている。2020年の中国全体の大卒生は前年比40万人増の874万人に上るが、新型コロナウイルスの拡大により、企業の採用意欲の後退で正常な就職活動が難しくなっている。例年、3~4月は大学内での就職フェアや企業と学生との面接が集中する時期だが、全国の大学が休校していることや、地域間の移動制限により、就職活動のスケジュールが乱れている。

国務院は大学生の就職を支援するため、3月20日に発布した「安定的な就業に向けた措置を強化するための実施意見」で、2020年に卒業する大学生を採用して1年以上の労働契約を締結した中小零細企業には、就業補助金を支給するとした(金額は未発表)。また、国有企業や事業単位(注)に対して、2020年と2021年の大卒生の採用規模を拡大することなどを求めた。

さらに、人力資源・社会保障部は、3月20日から6月30日までをオンライン雇用推進の専門プロジェクト期間とし、企業と就業者のマッチング支援に取り組むとした。大手求人情報サイト数社と連携して立ち上げた求人サイトでは、大学生だけでなく、農民工(出稼ぎ労働者)向けの採用情報も掲載し、4月7日までに約860万件の採用情報を提供している。

(注)事業単位とは、社会のために事業を行い、経済的利益の追求を行わない団体を指す。主に教育、科学技術、文化、衛生管理などの活動が行われている。日本の独立行政法人や特殊法人に相当する組織。

(呉冬梅、呉暁東)

(中国)

ビジネス短信 460a7c917577c66b