2020年1~3月期の日本の対中貿易、輸入が大幅減

(中国、日本)

アジア経済研究所 新領域研究センター

2020年04月23日

2020年1~3月期の日本の対中貿易額は、輸出入とも前年同期比で減少した。特に輸入が2019年10~12月期に続き2桁減となった。価格の変化は小さく、生産活動や需要の実勢を示す数量の減少が金額に表れている。

2月は輸入、3月は輸出の数量の減少幅が拡大

財務省の発表によれば、2020年1~3月期の対中輸出は、前年同期比5.3%減の3兆2,232億円だった。価格の変動は小さかった(前年同期比0.8%上昇)が、数量の減少が響いた(6.2%減)。数量は2018年10~12月期以降減少が続いており、輸出の減少基調が鮮明となっている。

2020年1~3月期の対中輸入は、前年同期比16.7%減の3兆8,412億円だった。輸出と同様に、価格の変動は小さく(0.3%上昇)、数量の減少(16.0%減)が金額を大きく押し下げた。春節と新型肺炎の影響が重なった2月は生産活動が大きく停滞したとみられ、対中輸入数量が49.1%減と大幅減になった。2、3月の数量指数の推移をみると、新型肺炎の影響で、まず中国の生産活動に急ブレーキがかかり、その後、生産活動は回復に向かったものの、今度は中国の需要面に悪影響が及びつつあるようにみえる。

なお、中国の貿易統計では現状、1、2月の動向を合算値でしか知ることができないが、輸出入とも前年同期(月)比は、1、2月に比べて3月の方が改善するかたちとなっている。

対中貿易収支は引き続き黒字

日中間の貿易収支は、日本も中国も自国統計では赤字だが、双方の輸入統計を突き合わせると、2020年1~3月期の日本の対中貿易収支は2,162億円の黒字となった。2019年4~6月期以降、黒字が続いている。2020年1~3月期は、対中輸出が前の四半期に比べ大きく減ったが、対中輸入も大きく減ったため、黒字が維持された。

日本の対中輸出と中国の対日輸入、日本の対中輸入と中国の対日輸出は基本的に同じ事象だが、日本と中国の貿易統計には差異がある。建値(日本の貿易統計が円建てなのに対し、中国の貿易統計はドル建てか元建て)の違い、日中間を財貨が移動する間に月が変わることがあることに加え、日中間には香港経由(香港を仕向け地とする)の貿易が一定量ある中、統計上、輸出は仕向地主義、輸入は原産地主義で集計されていることが指摘できる。このため、日中双方の輸入統計を突き合せた貿易収支の方が、いずれかの国の統計の貿易収支より実態に近いとみられる。

(箱崎大)

(中国、日本)

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