ECLAC、コロナ禍で2020年の域内GDP成長率をマイナス5.3%と予測

(中南米)

サンパウロ発

2020年04月24日

国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は4月21日、2020年の中南米カリブ地域のGDP成長率がマイナス5.3%に落ち込むとの予測を発表した。この下落幅は、1930年の世界恐慌(マイナス5%)や1914年に記録したマイナス4.9%を超える「史上最悪の経済不況」とECLACは評している。同発表内容は、ECLACのWEBサイトで報告要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます域内各国成長予測PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が入手できる。

その要因についてECLACは、新型コロナ感染拡大による、(1)国際貿易の減少、(2)資源などの国際市況価格の下落、(3)世界的な金融不安とリスクヘッジの激化、(4)観光サービスの需要低迷、(5)域内への送金減少、を指摘している。

地域別予測をみると、(1)主要輸出先である中国の経済低迷の影響を受ける南米諸国がマイナス5.2%、(2)主な輸出先かつ送金元である米国の経済低迷や観光収入低下の影響を受ける中米諸国がマイナス2.3%、(3)観光収入低下の影響を受けるカリブ海地域がマイナス2.5%、とECLACはそれぞれ予測している。ECLACは、製造拠点が集積するブラジルとメキシコは「サプライチェーンの分断が生じる」ことが両国経済に悪影響を及ぼすと強調している。

雇用面では、雇用創出に寄与する中小企業が打撃を受け、域内の2020年の失業率は平均11.55%(失業者数3,770万人)に達するとECLACは指摘。家計収入の減少で2020年の貧困率は前年より4.4ポイント増(2,900万人)の34.7%、極度貧困率は2.5ポイント増(1,600万人)の13.5%に達すると予測している。ECLACはまた、学校閉鎖や社会・経済活動の制限により、女性の無給労働が増加して男女不平等が強まる、と指摘している。

報告書は「域内各国は緊急経済対策で財政支出を拡大しており、国際金融機関による低金利融資の供与や高債務国の債務減免など柔軟な支援が必要」と訴えている。

打撃を受けた製造業については、企業は生産ネットワークを立て直すために、(1)調達国・調達企業を多様化、(2)最終消費市場近隣での生産(ニアショアリング)、(3)生産・開発拠点の国内回帰(リショアリング)、を志向する一方、既に社内業務のデジタル化・自動化が加速しており、多国間拠点の脆弱(ぜいじゃく)性が浮き彫りなる、とECLACは指摘している。

ECLACは、グローバル化の後退はないが、欧州、北米、東アジアの3極を中心とするグローバル経済の地域化が進み、中南米地域内の輸入製品への依存度が高まると予想。域内各国は生産・貿易・技術面での域内統合をさらに深化させ、戦略産業での生産技術能力を高めるための産業政策が必要だ、とECLACは訴えている。

(大久保敦)

(中南米)

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