「中華人民共和国エネルギー法」のパブコメ受付開始

(中国)

上海発

2020年04月17日

国家能源局は4月10日「中華人民共和国エネルギー法(意見募集稿)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、「エネルギー法」)を発表し、パブリックコメントを開始した(意見受付は5月9日まで)。

これまでエネルギー政策の基本的な方針を示すものとしては、国家全体の5カ年計画のエネルギー分野として「エネルギー発展5カ年計画」があったが、今回の「エネルギー法」は、こうした5カ年計画の上位に位置付けられる可能性がある。

「エネルギー法」ではエネルギー産業構造と消費の高度化を図るべく、再生可能エネルギーの優先的発展、安全で高効率な原子力発電の発展、非化石エネルギーの割合を高めること、化石エネルギーのクリーンで高効率な利用と低炭素化発展を推進するとしている。

エネルギー消費の面では、企業の省エネ対策として、重点エネルギー利用企業の強制的な情報公開(第59条)、省エネ排出削減目標を達成していない企業や団体に対する法的な審査および監査義務(第61条)などの管理強化規定が置かれている。また、エネルギー供給企業はエネルギーの計量を強化し、エネルギー計量器具の配備や計量システムの改善を行う(第106条)としている。

中国で操業する企業にとっては、環境規制などに加えて、省エネにもより一層力を入れる必要が出てくる。一方で省エネやエネルギー利用の高効率化などの分野や、精密な計測機器を有する日本企業にとっては、得意分野をビジネスチャンスに生かす可能性もある。

また、「エネルギー法」では各地で発展導入計画(2019年6月18日付地域・分析レポート参照)が進む水素をエネルギーの定義に含めている(第115条)。危険物として厳しい安全基準で扱われてきた水素がエネルギーとして扱われることになれば、導入が進む契機となることも期待される。

(高橋大輔)

(中国)

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