法相後任にキリスト教福音派の連邦総弁護長官を起用

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年04月30日

ジャイール・ボルソナーロ大統領は4月27日、24日に辞任したセルジオ・モーロ前法務・公安相 (4月28日記事参照) の後任に、連邦総弁護庁長官のアンドレ・メンドンサ氏を任命した。

連邦総弁護務庁(AGU)は、連邦政府の法的諮問機関で、同庁の長官は連邦最高裁判所(STF)審議で連邦政府の法的代理人を務める。メンドンサ氏は、ボルソナーロ大統領が2018年10月の大統領選挙で勝利し、2019年1月に政権発足するまでの政権移行期である2018年11月に同長官に選出された。メンドンサ氏は、ブラジリア大学法律大学院で学位を取得、スペインのサラマンカ大学で汚職防止戦略と政策整合性に関して修士号、法の支配とグ​​ローバルガバナンスに関して博士号をそれぞれ取得した。同氏は連邦検事総局の公共資産局長、AGU総監察官を歴任。2011年に汚職流用資産の国庫への回収を指導して10億レアル(約200億円、1レアル=20円)の回収に成功して、司法優良事例を表彰するイノバーリ研究院外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます特別賞を受賞している。

メンドンサ氏は、ブラジリアにあるキリスト教福音派の長老派教会エスペランサの牧師でもある。ボルソナーロ政権の主な支持基盤は、(1)キリスト教福音派勢力、(2)軍人、(3)新自由主義的経済を唱える知識人、(4)汚職撲滅追及を支持する人々、(5)族議員、の各グループだ。ボルソナーロ大統領は、新たな法務・公安相に大統領の最優力支持基盤であるキリスト教福音派であるメンドンサ氏を据えた。

国民からの人気の高かったモーロ全前法務・公安相が辞任に至った背景としてモーロ氏は「ボルソナーロ大統領が連邦警察に政治干渉しようとした」からだとしている。大統領は政治干渉を否定しているが、連邦最高裁(STF)は事実関係を調査すべく審問を行うことを決定している。

今回のメンドンサ氏の起用について現地メディアは、連邦最高裁(STF)との関係を報じている。メンドンサ氏は連邦政府の法的代理人として連邦最高裁審議に精通しているからだ。また、ディアス・トフォリ連邦最高裁長官と良好な関係を保っていることも起用の要因の1つとみられている。

(大久保敦)

(ブラジル)

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