2020年第1四半期のGDP成長率は3.8%、10年間で最低を記録
(ベトナム)
ハノイ発
2020年04月08日
ベトナム統計総局は3月27日、2020年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(推計値)を3.8%と発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、第1四半期としては過去10年間で最も低い成長率となった。
業種別では、農林水産業が0.1%(前年同期比2.6ポイント減)、鉱工業・建設業が5.2%(3.4ポイント減)、サービス業が3.3%(3.2ポイント減)だった(表参照)。
農林水産業では、新型コロナウイルスのほか、気候変動やASF(アフリカ豚熱)感染も影響した。中でも農業の成長率はマイナス1.2%と減速した。鉱工業・建設業のうち、経済成長の原動力となっている製造業の成長率は7.1%となったが、前年同期比では5.3ポイント減だった。サービス業の中では、卸・小売業の成長率が5.7%となったが、前年同期比では2.1ポイント減だった。
統計総局によると、新型コロナウイルスは社会・経済全体にマイナスの影響を与えており、政府はコロナウイルス感染防止と国民の健康を最優先することで、将来の経済成長維持を目指しているという。
IMFやアジア開発銀行(ADB)などは、世界経済は新型コロナウイルスの影響で2008~2009年の金融危機よりも深刻な不況に陥る可能性があると分析している。ベトナムでも、計画投資省は、最悪の場合に2020年のGDP成長率が6%未満になると試算した。一方、政府官房によると、グエン・スアン・フック首相はGDP成長率6.8%の目標をはじめ、2020年社会・経済目標(2019年12月9日記事参照)の調整を現段階では検討していないという。
消費者物価指数(CPI)上昇率(推計値)は前年同期比5.6%で、過去4年間で最も高い上昇率となった。テト(旧正月)時期の食料品や衣料品などの需要増加、新型コロナウイルスによる混乱で中国から果物や野菜の輸入ができなくなったことなどが物価を上昇させた。一方、新型コロナウイルスの影響で移動需要が低下したことをはじめ、ガソリン価格の低下や旅客運賃引き下げが物価上昇の抑制要因となった。
(グエン・ラン)
(ベトナム)
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