武漢市、企業に操業再開の動き

(中国)

武漢発

2020年04月13日

湖北省政府が4月5日に開催した新型コロナウイルスにかかる記者会見の場で、武漢市政府は4月4日までに同市内における一定規模以上(注)の製造業企業の97.2%、サービス業企業の93.2%が操業を再開したと発表した。

武漢市では、1月23日の武漢封鎖以降、一部企業を除き市内の企業は操業停止を余儀なくされていたが、3月21日から防疫物資が確保されているなど一定条件の下、操業再開が認められるようになった。3月31日時点の操業再開率は85.4%だったが、4月4日には製造業、サービス業ともに9割以上まで上昇した。

特に、製造業においては、3月中旬以降、東風汽車や東風ホンダ(東風汽車とホンダの合弁会社)、神龍汽車(東風汽車とフランス・プジョーシトロエンとの合弁会社)、上海GM(上海汽車と米国・GMの合弁会社)などの武漢市内に工場を持つ大手完成車メーカーが生産を再開し、関連の自動車部品メーカーも相次いで操業を再開したことで自動車関連企業を中心に操業再開の動きが進んだ。

現地日系企業にも操業再開の動き

武漢市に進出する日系企業の多くも操業を再開している。ジェトロが行ったヒアリングでは、4月8日までに日系自動車部品メーカーの約9割が操業を再開させている。日系自動車部品メーカーからは「一部従業員はまだ出勤できていないが、稼働率は9割近くまで回復している」「取引先からの受注も回復しつつある」といった声が聞かれた一方で、「稼働率は5割程度にとどまる」「在庫で対応している」といった答えも聞かれ、操業再開後の稼働率にはばらつきがある。

また、日系サービス業企業からは「一部従業員の出勤が許可され、まず事務作業を中心に業務を再開させている」といった声が聞かれた一方、「市民生活が正常化しない限り、本格的な再開は難しい」とする声もあった。

新型コロナウイルスの震源地とされる武漢市では、依然として従業員の出勤に制限があり、部分的に再開を行う企業も多いが、日系企業も含め、経済活動の正常化に向けて動き出している。

(注)主な業務の年間売上高が2,000万元(約3億3,000万円、1元=約16円)以上の工業企業。

(片小田廣大)

(中国)

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