日米貿易協定による市場アクセス向上を評価、一方でデジタルプラットフォーム規制策定の動きに懸念、2020年外国貿易障壁報告書(日本編)

(米国、日本)

米州課

2020年04月15日

米国通商代表部(USTR)は、3月31日に発表した2020年版外国貿易障壁報告書(NTE)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、日本については前年より2ページ多い18ページを割いて、関税や非関税障壁などの輸入政策、技術的障壁・衛生植物検疫、サービス障壁、デジタル貿易および電子商取引にかかる障壁などに言及し、その現状や米国から見た懸念、日本側の改善・進捗などについて報告した。

この1年の特に大きな成果としては、2020年1月に発効した日米貿易協定と日米デジタル貿易協定を挙げた。いずれも、NTEとあわせて発表されたファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中でも取り上げられた。日米貿易協定については、関税の撤廃や低減などが行われた結果、米国の農産品の日本市場へアクセスが改善し、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)加盟国と同等の関税上の待遇を米国も受けられるようになったと評価した。日米デジタル貿易協定については、デジタル製品に対する関税賦課や差別的扱いの禁止、ソースコードやアルゴリズムの開示要求の禁止などが定められ、デジタル貿易障壁を取り除くデジタル貿易協定として、米国がこれまで交渉した中で最も包括的で質の高い協定の1つとした。

一方、指摘事項としては、デジタルプラットフォームにかかる規制への懸念などが示された。具体的には、日本におけるデジタル市場競争本部の設置や「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律案」など規制策定の動きに触れ、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などの米国企業が、単に巨大ITプラットフォーマーだという理由でターゲットとされ、より規模の小さいIT企業には課されないような煩雑な規制の対象にされることのないよう、米国は今後の動向を注視していくとした。

(藤井麻理)

(米国、日本)

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