約8,000億円規模の緊急経済対策を発表、雇用維持と社会的弱者救済のため

(パキスタン)

カラチ発

2020年03月26日

イムラン・カーン首相は3月24日、企業経営と雇用の維持、社会的弱者の救済などを目的とした1兆1,300億パキスタン・ルピー(約7,910億円、1パキスタン・ルピー=約0.7円)規模の緊急経済対策を発表した。

企業向けの経済対策について、主な内容は以下のとおり。

  • 輸出企業のキャッシュフローを改善するため、各種税金の還付金を即時に支払う。
  • 企業の銀行借入金の元利金返済を繰り延べする。
  • 中小企業や農業従事者の支援対策に1,000億ルピーの予算を割り当てる。
  • 国営ユーティリティストア公社へ5,000億ルピーを追加拠出する。同公社は生活必需品を販売するユーティリティストアを運営しており、政府の補助金により市場よりも安定した価格で商品が売られている。
  • 石油製品の価格を3カ月間引き下げる。
  • 建設部門に対する支援パッケージは別途発表する。
  • ロックダウン期間中の一時解雇を防ぎ、雇用を維持するために2,000億ルピーの予算を割り当てる。
  • 新型コロナウイルス感染症の検査キットや、人工呼吸器などの医療機器、救急機器を備蓄するため、250億ルピーの追加予算を国家災害管理局へ配分する。

なお、パキスタン中央銀行(SBP)は3月17日に政策金利を13.25%から0.75ポイント引き下げたが、今回の緊急経済対策の一環として追加で1.5ポイント引き下げ、11.0%に設定した。

(山口和紀)

(パキスタン)

ビジネス短信 f9de7a0446fb9250